優雅に華麗に大胆に!(FGO攻略ブログ)

イシュタル召喚記念にブログ始めました。FGOについて書いていくつもりです。

FGO「逆光」の歌詞の意味を考察する

 ふと書きたくなったのでFGO第二部メインテーマ「逆光」の歌詞について考察していきたいと思います(一部はプレイした前提で書いているので未プレイの方は注意してください)。
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 かなりいい曲ですよね。単純に詞自体も意味深でなんというか聞いていて気持ちいいです。「色彩」も良い曲でしたけどこれもなかなか来てます。「色彩」は特に、終章ラストバトルでのアレンジ「色彩 ~訣別の時来たれり~」はガチで神曲だったので今回も今からラストが楽しみで仕方がないです。
 と御託はこの辺にして、この「逆光」の歌詞について考察していきたいと思います。まず今回の詞は確実にストーリーとリンクさせてきていると思います。それは今回の詞はそれ単体では意味が通じない形になっている、つまりは意味深すぎるということです。
 第一部の「色彩」に関しては全編終えてみた感想としてはそこまでリンク度は高くはなかったと思います。あれはおそらくマシュの心境を表したような歌詞だったように思いますが、メッセージ性や伏線のような方向性は特にありませんでした。つまり全てが終わったあと「ああ、歌詞はそういう意味なのか」というようなことはそこまでなかったかと思います。そのへんについても後で加えて考察していきたいと思います。
 とにかく、一年のブランクを経てようやっと始まった第二部はロスベルト(異聞帯)とかいう絶対面白いシナリオを作れそうな設定を引っさげて満を持しして登場しました。ここでのメインテーマには意味をふんだんに込めない意味はないかな、と思います。というわけで早速見ていきましょう。

1. 歌詞

まずは歌詞引用しておきます。

作詞:坂本真綾
作曲:伊澤一葉
編曲:伊澤一葉,江口亮
ストリングス編曲:伊澤一葉,江口亮,石塚徹
歌:坂本真綾

【1番】
憂鬱だった いつも目覚めると
同じ天井があって
現実だって 思い知らされる
ここには 出口がない

どうやって終わらせるの? 完成も崩壊も
永遠に訪れない物語
もう運命が決まってるなら
選べなかった未来は
想像しないと誓ったはずなのに

まどろみの淵で
私は優しい夢を見る
幻と知りながら

あなたに駆け寄って
もうすぐ指が触れる そして
微笑みながら目覚めるの

【2番】
本当に欲しいものが 分からない
こんなに 飢えているのに
じっとしてたら 過去に囚われる
どうしても 行くしか無い

人は生まれながら 誰もが平等って
簡単に言えるほど無邪気じゃない
「痛むのは一瞬だけ すぐに慣れてしまうわ」
そう割り切れたほうが ずっと楽だった

絶望のほとり 懐かしい人の名を叫ぶ
それは遠雷のように
まだ戦ってると 嵐の向こう側にいると
あなたにだけに届けばいい

【Cメロ】
沈黙を破り 障壁を越えて
眩しさ怯む向こう側へ
走れ 雨の洗礼と ぬかるんだ道
逆光を浴びて 泥だらけになれ
私はここにいる

【サビ2】
あなたに駆け寄って もうすぐ指が触れる
そして 選びたかった未来を

絶望のほとり 懐かしい人の名を叫ぶ
それは遠雷のように
まだ戦ってると 嵐の向こう側にいると
あなたにだけに届けばいい

 実はこの曲をFULLバージョンは聞くのはかなり難しいです。というのも2018/6/2現在まだ「逆光」のシングルは発売してません。ですが聞けないわけではなかったりします。実は一度だけ一般公開されたことがありました。それは坂本真綾のラジオ番組、ビタミンMで1月に1度だけ放送されたからです*1。ですからもしいまFULLを聞きたいのであればビタミンMを録音している友達かなんかにお願いするしか無いです。異常な到達難易度ですね。まあ、7月に発売される? みたいなのであと少しの辛抱ですね。

2. 解説(のようななにか)

 さて、それではまず歌詞の解説に入りましょう。ちなみに考察本編は3. 考察からなので冗長に感じたらそこまでワープしてしまってください笑
 この曲を解釈する上で重要なことはまず「誰の目線からの歌か」ということだと思います。そのことについて第一部テーマ「色彩」を参考にしてみてみましょう。

2.1 「色彩」のテーマ

 「色彩」はほぼ間違いなくマシュの目線からの歌でした。それは作詞した坂本真綾さんのコメントからもわかります。

「色彩」を作詞されるにあたって、詞に込められた想いを教えていただけますでしょうか?

終わりがあるとわかっていて、それでも生きる意義って何だろうというテーマで書き始めました。
自分の大切なもののために何ができるか、真摯に考えるヒロインの目線でつくってみました。
引用元http://www.fate-go.jp/gallery/song.html

 この歌はマシュの抱え込んだ不安、戦っていく理由、永遠など欲しくないという意志、終わりある生命をそれでもと一秒一秒精一杯生きること、そういう決意の曲だったということでしょう。「色彩」というタイトルも、ずっと狭い部屋の中だけで生活していたマシュが初めて、世界の「色」を見る。そして灰色の部屋、世界だったマシュに次々と色彩が与えられていく。そういう彩りの中で育まれてきた「決意」の歌だったのかな、と想います。そしてだからこそ、マシュの心情を描いた詞は強いテーマになったのでしょう。自分はストーリーを経てマシュがすごい好きになった民なので「色彩」の歌詞を見てるとぐっとくるものがあります。

2.2 各詞の意味の細分化

 閑話休題。「逆光」に戻りましょう。

 まずこの歌詞のテーマ、大枠を端的に書くと別れてしまった「あなた」を想い会える世界を想像するもかなわない、かなってはいけない切なさかなと思います。「あなた」に対する切望の曲ですね。最初にも書きましたが「わたし」と「あなた」が誰かというところがこの曲を解釈する究極的な問題になります。
 歌詞をもう少し詳細に見ていきましょう。

2.2.1 1番

 まず、最初の1番A,Bは大きく言うと出口のない行き詰まりにいる絶望感、終わりのない箱庭の中で途方に暮れている様子ですね。出口がない、というフレーズからロストベルトかそうでなくてもどこかの虚無空間の中で、それが現実でないと知りながらも終わらせる方法も知らず途方に暮れている様子>がまず浮かびます。Bメロの最後の「選べなかった未来は想像しないと誓ったはずなのに」というフレーズは明らかにロストベルトを示唆しているでしょう。選べなかった未来というのはつまり剪定で切り落とされてしまった事象、本当はそうあってほしかった願望の世界のことで、誓ったはずというフレーズからもそれがいけないとわかっていても願ってしまった、という事がわかります。
 次に最初のサビ。1つ気になることとしてはこのサビはPVとは違う、ということですね。PVでは2番のサビが繋げられています。また繰り返しのサビもあくまで2番のサビを使っています。普通の曲構成ならこの詞は2番のサビに来る方が自然でしょう。しかし敢えてそうしていない、ということは何かの意味があると考えても良いかもしれません。まあでも実際は単純に曲の構成上そうなっただけな気がしますけどね。変に深読みするなら1番の歌詞を早い段階から公開したくなかったとかですかね。う~ん。そんな理由は特にないかなあ。
 まあそんなことはどうでもよくて、サビについて。幻と知りながら会えない人の夢を見る、というシーンですね。死別やそうでなくても永遠の別れをした相手を夢に見る、そして触れる寸前で目覚める。というある意味よくあるシーンですが非常に意味深でいろんな解釈ができますね。ここが誰かについては最後まで見てから考えましょう。

2.2.2 2番

 次に2番について。ABメロは「あなた」をこんなにも求めているはずなのにどうしていいかわからない葛藤でしょうか。
「痛むのは一瞬だけ、すぐに慣れてしまうわ」というフレーズは悪いとわかっていてもその行為をしてしまう時の心情でしょう。誰もが経験したことがあるかな、と思います。そんなにリアリストにはなれない。自分は正しいことをしたいというある種の幼稚さを引きずってしまう心理。良心の呵責なんて振り切って、その行為に手を染めてしまえない、そういう心理のことかと思います。この詞はなんかぐっと来ますね。非常に強く共感します。そしてこの詞では「そう割り切れたほうがずっと楽」だった、というようにできなかったということですね。
 「人は生まれながら~」というのは平等なんて嘘だというのを散々見てきたあとの心理でしょう。これも誰しもが共感する部分かと思います。こちらはどちらかというとリアリスト的な心理でそういう意味では小さな対比があります。
 全体的にこの2番のABは抽象的で一般的なことが言われているので解釈が難しいですね。おそらくは「私」つまり一人称者のリアリストになりきれないものの現実の厳しさに葛藤する心理、という感じでしょうか。ただ誰しも感じるところのある部分でもありますね。
 そしてサビ。このフレーズはCMでも何度も使われてかなり印象的かと思います。自分もゲームやりながら歌ったりしてたら友達に「そのフレーズ歌いすぎ」って怒られました笑 いや~。だっていいんですもの。
 さて、歌詞について。遠雷というのはそのまま遠くの雷ということですね。なんかYou Tubeに遠雷の動画があったので貼っておきます。
www.youtube.com
なんというか夏の風物詩という感じでこれだけでぐっと来ますね(夏厨並感)
。詞についてですがこれまた少し抽象的で分かりづらいですね。「絶望のほとり」、絶望の「淵」ではなく絶望の「ほとり」なんですよね。これは語呂を合わせただけというよりはやはり意味があるかと思います。つまり絶望の真っ只中というよりも絶望的な状況を近くに見て、という雰囲気でしょうか。絶望で助けを求めると言うよりは、絶望に「あなた」と一緒に立ち向かいたい、という「希望」の心理を表す雰囲気かもしれません。懐かしい人の名、懐かしいというのはつまり今はもう近くにいない人、けれど忘れられない人、ということでしょう。誰の目線かで色々な選択肢がありますね。
 次のフレーズは自分は消えてわけではない、見えないかもしれないけれど「ここにいる」とどうか届いてほしいという願いですね。「消えたわけではなく自分だってまだ生き残っている、ただ断絶しているだけだ、どうかあなたに届いて欲しい」なんともグッとくる心理ですね。

2.2.3 Cメロとラスト

 そしてCメロ。ここはついにその壁を破って輝きの方へ、つまりあなたの方へと走っていくということでしょうか。自分は「わたしはここにいる」というとどうしてもハルヒを思い出してしまう信者ですがなんにせよ相手についに会いに行くという強い高揚感のある部分だと思います。Cメロのメロディにふさわしいですね。ここで「逆光」というタイトルの単語が登場しています。逆光というのは写真を取るときに光源と被写体が同じ方向にあるときのことでこの状態において被写体はシルエットに近い状況になり見えづらくなりますが、この「わたし」が光源に向かって走っているとすれば逆光に見えるのは「あなた」の方ですね。つまりこの「逆光」という言葉の意味は近くにいてもシルエットでしか見えない状態。相手からはわからないけど自分からはよく見える状態、逆光から来る誰かがついに「あの人だ」とわかる高揚感の感情を表しているのかな、なんて思います。

 最後に2回のサビ。今度は夢のシーンではなく本当にあなたに会える、というシーンのことでしょう。それは文字通り再開という渇望した未来にまさに触れるシーンであるという感じでしょうか。選びたかった未来を手にする、ということなのか、あるいはやはり手放してしまうのか、絶妙な省略です。
 そして2回目の2番サビでおしまいですね。ピークはCメロからの「選びたかった未来を」のところですね。ここが1番の高揚感かと思います。
 さて以上を見た上で考察をしていきましょう。

3. 考察

 まず歌詞のストーリーはこんなことかな、と。

 どこか遠くへ行って「あなた」と別れた「私」。「あなた」はきっともう私はいないと思っているでしょう。けれど「私」は「あなた」のことを夢に見る。一緒にいるという叶わなかった夢を。
 そしてやがて会いにいく。遠く離れた嵐の向こうからあなたの名前を叫ぶ。しかしそれはきっと遠雷のようにしか届かない。どうか私もここにいると届いて欲しい。
 ついにあなたに会える。さあ「私」はここにいる。ついに会える!

 なんか書いてて恥ずかしいですがまあそれはさておき、このストーリーは誰の物語か、嵐の向こうとはどこなのか、というところが考察のポイントですね。
 ここで一瞬逸れますが、少しばかりロストベルトについて書きます。考えてみると今回のテーマであるロストベルト、異聞帯というのは非常に重いテーマを抱え込んでいます。つまり、正義のために悪にならなければならない、自身の欲望のために無辜の人を犠牲にし無くてはならない、ということになるからです。2部1章は幸いにも(?)その世界はディストピアに近いような限界の世界でした。つまりその世界を正義のもとに崩壊させることにはさして抵抗がなかったように思います。しかしこれから行く異聞帯が必ずしもそうとは限りません。例えば階差機関を完成させて世界を効率課せしめたバベッジ、例えば本能寺で信長が死ななかった日本、例えば300人で勝利せしめたレオニダス、うまく行って繁栄したブリテンを臨む円卓例えばロマニが生きている世界、そういうものを剪定事象だとして切り取りに行かないといけないのです。誰だった心の奥底で臨むイフの世界、そしてそこにあるのが理想郷のような幸福な世界だったとしてもそれを悪役のように世界を破滅させないといけないのです。もちろんおそらくはそれを望んだ当人自身も先のない世界だと自覚していることでしょう。しかし目の前で幸福そうにしている人からそれを取り上げるような、そういう方向に進まないといけないというのは今までにはなかった非常に難しい方向につながっていると感じます。
 特に後者2つ、うまく行った円卓とロマンの生きている世界、というのはわりと来るではないかと思っています。詞にある「選べなかった未来」というのはこの叶わなかった望みのことでしょう。そう考えながら見てみると、この詞というのは歌っている人物「私」が「あなた」に会うことを思い描いたロストベルトのことなのかな、なんて思います。
 さて、そんなことをぼやきながら具体的に誰の歌なのか考えていきましょう。

3.1 主人公、マシュ→ロマン

 先程も書いたようにありそうな選択肢ではあると思います。懐かしい人の名を叫ぶ、と言って真っ先に浮かぶのはやはりロマンです。また今別れた人物であり、そして主人公にとってもマシュにとっても最も大きな存在はやはりロマンでしょう。歌詞についてもそれなりに整合性が保たれます。

3.2 マシュ→主人公

 主人公とマシュが何らかの形で別れた場合を想像するとすごくしっくりいきますし個人的にはこの方向でシナリオが来た場合が1番泣ける気がします。ですからこういう方向性もありかな、と。

3.3 マシュ→ギャラハッド

 マシュを一人称と仮定するなら一応こういう方向性もありえます。ただ少し弱いかな。

3.4 オルガマリー所長→カルデア(主人公、マシュ)

 これはどうやらそれなりに考察している人がいるらしいですね。オルガマリー所長=ラプラス説と合わせてこの節が現れるみたいです。ただオルガマリーにとって1番思い入れのある人物はレフ・ライノールだと思いますから、オルガマリー=ラプラス説はあり得るかと思いますが一方オルガマリー→カルデアという歌だと考えるのは違う気もしますね。ましてや主人公、というのは現状は考えにくいです。もちろん主人公の行いをすべて見てきた、とするなら十分にありえますけどね。

3.5 未登場の人物

 これもありえますね。ただその場合は考察のしようが無いのであまり触れないことにします。この場合どこかのロストベルトで誰かを待っているという形になります。

3.6 塩川P→ユーザー

 ……。ネタで書いたけどそういうつもりで歌詞をみると案外そういう気もしてくる。草。

考えられるのは以上ですかね。主人公に近い人物でないとメインテーマの一人称にはふさわしくないと思ったのでそういう方向性で考えました。やはりマシュと主人公の物語ですからそのどちらかは関与すると思います。

3.7 ちょっとした深読み

 最後にもう1つちょっと深読みしすぎな考察を。1番と2番とで一人称が異なる、というのは少しあり得るのではないかな、と思いました。というのも1番と2番で少し一人称の雰囲気が違うからです。どうしても1番のサビと2番のサビにギャップを感じるんですよね。例えば1番はA→Bで2番はB→Aというふうな構図なんてのは割と有り得そうです。そう考えると結構しっくり来る気がして個人的には嬉しいのですが現実には考えすぎになりそうですね。ただそういうのもありかな、ということで書いておきます。

4 結論

 マシュ、主人公、ロマンのうち2人の想いの曲かな、と思っています。他もありえますが、この中で完結するのが1番自然です。 そして、1番2番で人称が違うというのはあっても面白いかな、と思っています。なんにせよどうなるか楽しみです。それにしても意味深ながらドラマティックな歌詞で曲もよく盛り上がっていいですね。これからも張り切っていきましょう。
 以上考察でした。第2部は非常に楽しみですね。第1章は個人的には好感触でしたから今後に期待していきたいです。「FGOをやっていてよかった」と感じるようなアツいやつを楽しみにしています。

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おわり

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*1:どうでもいいですが上に上げたビタミンMのサイト、なんというかすごいですね……。2000年代の残り香がして少し懐かしい感じがします