優雅に華麗に大胆に!(FGO攻略ブログ)

イシュタル召喚記念にブログ始めました。FGOについて書いていくつもりです。

スマブラ基礎理論研究ノート ~VIPまでとVIPから~

 久しぶりの更新。前回のブログishtarvenus.hatenablog.com
のささやかな(個人的)大ヒットから随分が経ったが、その続編として最近考えるスマブラの上達の仕方について自分なりにまとめていきたいと思う。講座や解説というよりは私的研究メモ、研究ノートといった手合いのものでやや書き方がぶっきらぼうではあるが、自分なりにここ3ヶ月近くで考えてきたことや学んできたことを理論として再構成したので、前回を超える40000文字とかいうすごい量になったが適当に読んでもらえるとたいへん嬉しい。

 今回考えたのは「試合中に考えるべきこと」、「立ち回りを強くするにはどうするか」といったことなどで、それを理論的にどう切り詰めていくかを深く自分なりに追求した。スマブラの上手さには大きく分けて、「知識」、「操作精度」、そして「立ち回り」の3種類があると思っている。
 「知識」は仕様理解やキャラの動きを知ること、コンボを知ることなどで、スポーツで言うなら対戦分析や、ルール理解、情報収集と言った部分に当たる。動画配信や各種サイトなどでも非常に学びやすく、努力にも比例しやすい部分だろう。
 「操作精度」はコンボ火力や複雑な操作をミスらないことなどトレモが物を言う世界で、スポーツで言えば筋トレや素振りのようなものだろう。こちらも練習に比例しやすくやるべきこともわかりやすく、やっていけば自ずと成長できる部分でもあるだろう。
 ところがこれら2つをいくら鍛えても最後の要素「立ち回り」が弱いとどうしようもない。「立ち回り」というのは、対戦の中の読み合いの妙を理解すること、相手の傾向を読むと言った実戦的部分で、スポーツで言いえば試合で勝つための読み合いや駆け引きの部分だろう。筋肉がいくらあっても、知識がいくらあっても実戦経験のない乏しい状態ではどうやったって勝負に勝つのは難しく、そういう意味ではゲーム性の肝になる部分である。
 しかし、これは非常に大きなウェイトを占めるものの、何をどう練習すればいいのか具体的なプロセスが非常に分かりづらい。知識や操作精度に比べると誰もがなんとなく、「数をこなしていくしかない」という漠然とした期待とある種の諦めを持って望んでいる部分のような気がする。
 だがやはり、それだけでは厳しい。ただ数をこなしているだけでは立ち回りは強くならない場合が多い。自分は1000試合して全く立ち回りが上達しなかった苦い経験があるが、毎日何度も文字を書き続けているのにも関わらず全く達筆にはならないように、漠然とやってるだけでは上達しないもの、というのは確かにある。そしてスマブラにもおそらくそういう部分がある。意識をしないとだめなのだ。では何を? どうやって意識する? それが今回の焦点になる。
 今回語りたいのはこの「何を意識すべきか?」、立ち回りをいかに鍛えるかの部分、「スマ力」とタグ付けされそれより掘り下げられることの少ないダークマターの正体をなるべく詳細に、それがどういう考えなのかを理論的に分析することにある。「スマブラ原論」*1を作りたい、とでも言うべきだろうか。あるいは過去の名曲を分析して生まれた音楽理論のようなものをスマブラでも作りたいと言い換えてもいいかもしれない。

 自分がこのことを意識したきっかけは、悪い言い方をすれば色々なキャラを触りながら格下(だと自分が感じる)相手に翻弄されまくった経験から来ている。このゲームは読み合いのゲームであるが、真の読み合いとはあくまでじゃんけんでしか無く、もし仮にただのじゃんけんであったら誰しも勝率は5割にしかならない。しかしもちろんそうなっているわけではなく上手い人は勝ち続けるわけでそこにはギャップが有る。それはじゃんけんではなくグリコだから、上手くなるについれて読みが冴えるから、といった説明をなされることが多いが、例えば崖上がりで、着地で、ダウン展開で、シールドのお見合いで、そういった箇所で毎回必ず読み合いをせず、全くランダムにサイコロで択を選んでいる相手がいたとして、おそらく上手い人であればそういった読み合い放棄にもやはり高い勝率を維持できるだろう。そういう意味ではじゃんけんとはある種かけ離れた部分も大きい。読み合いの前にすでに上手い人と下手な人とでは差が出ているからである。相手が読み合いに参加してくれないとしても勝てる力、読み合い以外の部分で勝つ力、読み合いを自分有利にセットアップする力、そういった部分を鍛えていくことが勝率につながるのだと思う。突然のスマッシュブッパにいつまでもストレスを感じている場合ではないのである。静的なゲームメイクというものを模索し、実践できる力が必要なのだ。それを考えていきたい。さらには、「試合中に頭を使うとは何か」、「成長するにはどうすればいいか」といった部分を結論として話を進めていく。今回書く内容は単にプレイする上でだけでなく観戦する上でも「プロや上級者はどこがどう上手いか」を客観的に分析する上でもある程度意義があると思っているので、そういう意味でも役に立てばとても嬉しい。

 以下の理論や考察は全て僕個人の見解としての未完成品であって、より深い識者の意見を請いたい部分も多数あるがあえてこのまま記事にしてしまう。このブログが何かしらの参考に、あるいはたたき台になることを願っている。

1. 展開の分類

 スマブラのゲーム展開は非常に早く目まぐるしいが、それらは大きく分けて3種類に分類できると思っている。まずはそれについて考察してみたい。具体的には、以下の3つがあると思っている。

攻めの展開(Offense)
相手に1撃入れて崖、空中、崖外といった不利状況を背をわせている状況。「F展開」と呼ぶ*2
ニュートラルの展開(Neutral)
どちらも1撃をいれず、差し合いのニュートラルな状況。このゲームの要。「N展開」と呼ぶ。
守りの展開(Defense)
F展開の逆。相手にF展開を作られた状況。崖、空中、崖外など。不利。臨死。「D展開」と呼ぶ。

 単に形式的に分けているのではなく、それぞれの展開ごとに考える内容、読み合いが違い、それらの頭の切り替えができないとベタ降りの判断ができない麻雀打ちのように破産しやすい。

1.1 F展開(Offense)

 有利状況。なるべくこの展開を維持することでバリュー(ダメージやバースト)を稼ぐ。相手の逃げ方を覚えることでよりダメージが稼げる。フェイントやすかしなども有効。この状態にすることで大技、バースト技が当てやすくなる。これが上手いと魅せられるので練習したくなる。F展開を作ったときにどういう動きをするかは予め考えておけるとバリューが取りやすい(非確定コンボの設計)。いわゆるダブルアップなどもこの展開から発生しやすい。
 体感だが若い層はここが強い人が多い。
 特に多くのキャラの下投げからの展開は最もわかりやすいF展開を作られるので良い勉強になる。
 ポイントは「いかに攻め続けられるか」

1.2 N展開(Neutral)

 有利不利のない状況。さらには牽制(差し込み)側と待機(差し返し)側に分けられる(詳しくは後述)。お互いに技を振り合ってなんとか1撃を当ててF展開を作りたい状況。この展開からいきなりバーストを技を当てるのは難しい場合が多い(投げバなどの例外も多数あるが)。
 上手い人は何よりここが上手い。が、ここは簡単にはうまくならない部分でもある。F展開の維持力を鍛えるほうが簡単かもしれない。しかしいずれ向き合わなければならない部分でもある。この展開をスキップできる、ごまかせるキャラほど初心者に向いていると思われる(優秀な飛び道具、強力な差し込み技などいわゆるセットアップや擦り技)。
 ポイントは「いかに展開を作るか」

1.3 D展開(Defense)

 不利状況。崖外や空中などリスクリターンが悪い読み合いを強いられたり、選択肢自体が少ない読み合いを迫られたりする展開。ここでの立ち回りは特に個々人の癖が出やすいと思っている。この展開での第一目標は常にN展開への復帰であって、相手の攻めにリスクをつけることではない。いわゆる最低リスク択を最も要求される部分。
 ベクトル変更、ヒットストップずらし、相手の狙っている大技といった知識が非常に活きる面であり座学が重要になる。ここが上手い人はバーストがとにかく取りづらく硬いプレイヤーになる。
 ポイントは「いかに展開を阻止するか」

 まずは今がどういう展開かを意識できるようになるとゲームそのものが「見やすく」なると思うのでその部分から始めていきたい。
 以上の上で更にこの上で読み合いを分類していく。これによりさらに展開を読みやすくなる、と思う。

2. 読み合いの分類

 次に読み合いの分類を始めよう。このゲームの根本は「読み合い」であるがそれを細かく分析すると、上記の3種類展開に合わせて択の配分がEvenな場合とOdd場合の6種類に分類できると思っている。まず、EvenとOddについて書く。

均等(Even)な読み合い
ただのじゃんけん。相手がどの選択肢も均等に選べる読み合い。あえて言えば読み「合い」になっているケース。崖上がり、復帰などはこのパターンが多い。技の後隙もこのパターンが多い。この読み合いはあくまで成功率が5割に近いため、必然的にこの読み合いが多いほど勝率が5割に近づく。この読み合いに依存度が高い戦法は勝率が安定しづらい。「E読み合い」と呼ぶ。
不均等(Odd)な読み合い
グリコゲーム。相手の選択肢がどれかの択に偏る読み合い。ある択に非常に大きなリスクがつく、入力難度や反応速度から事実上選択肢がない、相手に強烈な癖があるなど、様々。大きく「展開による要因」と「癖による要因」の2種類に類別できる。あえて言えば「読み合い」ではなく「読み」だけで択を当てられるケース。とにかくいかにこの読み合いを作るかが勝率に大きく影響する。「O読み合い」と呼ぶ。

 簡単に言えば、択を意識しているときに、どれを選ぶかがその時の気分、純粋な読み合いで決まりやすいような読み合いをEven、気分によらずある択を選びやすいような読み合いをOddと呼ぶ。

 この部分は伝わりづらそうなので更に補足を。注意としてEvenとOddは技や状況に依って完全に決定するわけではなく、対戦相手の状況(実力)によって変わる可変なものである。いくつか例を挙げよう。ガノンの横Bを考えよう。この技は、受け身を取った後、前転がりか後ろ転がりかの択が存在する。どちらにも多少のバリュー差があるものの、ケースに依ってはどちらを取るのも全くEvenになる。ところが横Bに受け身ができない相手にとってはこれは必ず下強が当たる読み合いであって完全にOddになる。これは程度の低い話だが、この延長としていろいろな場合がある。
 以上の話はEven→Oddの話だが、逆の「OddのはずがEven」というのはもう少し経験が多いかもしれない。たとえば、
「ここはさんざん誘導をしたし、こっちの択を選ぶだろう→選ばない、マジか!→なるほど深読みされたか、よしここはこっちだ→選ばない→なんやねんこいつ、おらブッパじゃ→当たった→読み合いしてくれよ……」「さっきはこれでバースト取ったんだから相手も学習してこっちを選ぶだろう→選ばない→マジかお前!!」「ここはこれが安定択なのだからまさかこんなリスキーなことはしないだろ→してきた、え、マジで?」みたいな感じである。読み合いのはずがむしろ、相手が「誘導をわかっていないから」、「択バリューをわかっていないから」、「盤面を理解していないから」、逆に勝ちづらい、というある種の腹立たしい逆転現象が起こる。ムカつく!! 悔しい!! だが、重要なのは、ここで「読み合いをしない相手に負けた!」というのではなくて、「こいつに読み合いを仕掛けてしまったのがいけない」と考えることだと思っている。それが勝率を安定させるということにつながる。
 これは例えば大会で残っていくためにも重要なことだと思っていて、以下は自分の経験談なのだが、以前シャドウバースというカードゲームをやっていた頃、大会に出るたびに予選の違った意味の過酷さみたいなのを感じた。それは初戦から優勝候補に当たったとかではなくて、「おまえそのデッキどう考えても優勝する気ないだろ」みたいなロマンデッキや極度なガチメタデッキ、趣味デッキを持ってくる人に予選とかで当たるときのことである。そういうデッキは例えば勝率がひどく運に依存したり、あるいは構築的にどう考えても環境で生き残ることが厳しかったりするのだが、その相手が何故か運良くロマンを実現してきたり、ピンポイントにメタが自分にぶっ刺さってきたり、あるいは既存型から逸脱していて崩されたり、といったことで口惜しくも勝利をもぎ取られたりする(お前が弱いだけとか言わないで。いやまあ負けた時点でそうなんだし実際僕は弱いけども)。別に向こうも真剣なのは百も承知であるし、環境デッキだけが全てではないのも理解しているし、相手が下手だなんて決して言うつもりもないのだが、トップティアのデッキ群との手に汗握る熱い読み合いと対戦を想定して構築を考えて練習して、という努力をしてきた身としては、こんなところで終わるのはあまりにも悔しく、虚しい。当然本戦にはそういう偏ったデッキは殆どおらずトップティア同士の闘いが勃発する。それを観戦席から眺めながら、「ああ、僕もあのトップティア同士の戦いに参加したかったなぁ」なんて感傷に浸る。何という青春の1ページだろうか。人生とは虚しいものなのかもしれない。だが、いろいろな人と当たるということはまあそういうことである。「(自分にとって)わけわからんやつに負けた」ではだめなのだ。
 要するにここ最終的に語りたいのは「いみわからんやつ」にも勝てるようになりたいうことだ。読み合いをしてくれない相手、デタラメな相手、自分とは違った軸を持っている相手、そういう相手に安定して勝てるようになることが勝率につながると言える*3
 で、このような考えのときに、相手が読み合いガン無視で適当に選べるような読み合いがEven、読み合いガン無視だからこそ誘導できるor読み合いガン無視でも当てられるような読み合いがOddということになる。
 そういう意味で本旨の後半の主題としていかにしてEvenをへらすか、あるいはEvenをOddにできるか、という話になる。ただとにかくEvenとOddとはそういう意味だとこ理解願いたい。

 以上をもとに読み合いは以下の6つに分類される。

  • FE読み合い
  • FO読み合い
  • NE読み合い
  • NO読み合い
  • DE読み合い
  • DO読み合い

 スマブラで有利読み合いという単語を使うとき自分側にリスクが少ない(F展開での読み合い)という意味でのときと、相手の選択肢が非常に少ない(O読み合い)という2種類が混同しているように思う。

2.1 攻め展開(F展開)での読み合い

 攻め展開(F展開)での読み合い。ベースとしてこちら側のリスクが少ない読み合い。
 FE読み合いは一見有利だがこの展開に依存すると勝率は安定しづらい。復帰阻止などは基本的にはFE読み合いで、相手は上から帰る択と下から帰る択がある場合が多く、どちらを選ぶかはじゃんけんになりがち(相手がすでにジャンプを使用していてルートが制限されているときなどそうじゃないパターンもある)。この読み合いを立ち回りの中で重視する際は、なるべく試行回数を稼げるように戦いたい。必ずしも最大リターン択や最小リスク択が正解とも限らないのが難しいところ。
 FO読み合いはリスクが少なく、相手に追撃をしやすい最高の読み合い。特にコンボ始動技や非確定コンボ始動技などを当てたときに発生しやすい。この読み合いを活かすことでコンボを相手に意識させつつあえてコンボを打たずさらに大きな技を当てる、といった動きができたりもする。これをダブルアップという。

具体例

FE読み合い
復帰阻止(展開次第)、崖狩り、着地狩り、起き上がり、ガノンの横B、ロボットスネークの下投げ等
FO読み合い
復帰阻止(展開次第)、低%下投げ等コンボ始動技を当てたときの展開、およびダブルアップ

2.2 ニュートラル展開(N展開)での読み合い

 ニュートラル展開での読み合い。お互いにリスクを背負い合う読み合い。
 NE読み合いはじゃんけんの極みという感じで基本的にこの展開は避けるべきだと思っている。じゃんけんはじゃんけんでありこの読み合いをする限りは勝率は5割に近づくだけになる。ただ上級者になるにつれて結局こういう読み合いで勝てるかどうかが勝利につながるのかもしれないと思う。ただ、このゲームが実力ゲーである以上、上手い人と100戦したら100回負けるゲームである以上そんな状況ははるか先の話な気がする。
 後隙の少ない技を相手がスカした後や多くのキャラの着地隙などはこの読み合いが起きやすい。無意識に狩りに痛い目を見ることになる。NE読み合いで何をすればいい変わらないときは基本的には最低リスクの択を選ぶのが良い。
 NO読み合いはN展開で最も重要な読み合いであり、これを作れ、これに気が付け、これに勝てることがスマ力の最も根幹だと思っている。NO読み合いはNE読み合いだったものが相手の癖で発生するパターンやそれを利用した誘導などが多いが、リーチ差のある差し合いや飛び道具撒きなどもある種のNO読み合いといえる。
 N読み合いについては非常に重要なためN展開の牽制、待機の部分で再度触れる。

具体例

NE読み合い
低リスク技の後隙、着地隙、その他お見合い展開など
NO読み合い
飛び道具やリーチの押し付けでの差し合い、相手の癖読みなど

2.3 守り展開(D展開)での読み合い

 守り展開での読み合い。自分側に一方的なリスクがある場合の多い読み合い。
 DE読み合いは復帰や崖上がりなどで、この展開では相手も択を断定しづらいため明確な読み合いの意識が発生しやすい。とにかく読まれないこと、そしてしっかりとNに戻すことを意識するのが重要である。また、この択でバーストを取られた際はあまり気にしすぎないことも重要な気がする。明らかな偏りがあったならまだしも、結果論的にやられた場合はじゃんけんゆえ仕方がないため、ひどくは気にせずそれまでの立ち回りの方を反省したほうがいいだろう。ただし相手の誘導の仕方だけはしっかり観察しておきたい。
 基本的には最低リスク択が本命択だという意識も忘れずにいたい。
 DO読み合いはコンボ展開に巻き込まれている状況や選択肢の少ない復帰等の臨死、大ダメージを食らうことが見えてる状態であり、この読み合いを作られてしまった以上覚悟はしなければならない。ベク変や誘導の癖、相手の狙っている非確定コンボなどをなるべく覚えて、それにリスクをつけるのが重要である。こういう状況を強制終了させる択を持つキャラは非常に守りが堅く、強キャラになりやすい印象がある(ゼロサムやジョーカーやシュルク、暴れの強い剣キャラなど)。

具体例
DE読み合い:復帰、崖上がり、着地、起き上がりなど
DO読み合い:相手のコンボ技に入れられたときなど

 一口に読み合いとってもどういう種類の読み合いであって何が狙いか、どれくらいリスクのある読み合いかをしっかりと判断し、なるべく自分有利なO読み合いを中心に読み合いを仕掛け、一方でやりづらいE読み合いや自分不利なO読み合いは参加しないようにするように意識すると勝率が安定しやすい。相手が「読み合いをしてくれない」と思う場合、立ち回りそのものがE読み合いに勝つことにウェイトを置きすぎている可能性があり、それ自体がある意味「勝率を下げる立ち回り」であることを意識して考え直すほうが良いかもしれない。詳しくは後述。
 最後に技の分類を考えておく。キャラ理解や立ち回りの構成などで非常に重要なるためここもしっかりと意識しておきたい。

3. 技の分類

 最後に技の分類を考えていく。技の分類というと技ランクのような話があるがあれよりももう少し機能的な面での分類を考える。
 攻撃技には大きく分けて3種類があると思っている。差し込み技、差し返し技、決め技である。それぞれの特徴と役割は以下のようになる。

差し込み(牽制)技
とにかく低リスクで気軽に触れる技。また当てた後の展開が美味しい技。F展開を能動に作りに行く技でありまた相手に見せることでなにかの行動をおびき寄せる技でもある。飛び道具は便宜的に差し込み、牽制技に入れている(遠距離で振ることで低リスクに扱えるため)。
差し返し(待機)技
発生が早かったりGC(ガードキャンセル)から発生できる技。また、判定が比較的硬い技。
決め技
バースト技や高コンボ始動技など、バリューが高いが発生や範囲に癖がある技。普通に振っても当たってもらえず当てるまでの展開を作る必要がある技。

その他にも一応分類するなら

死に技
基本的に立ち回りで使わない技
その他
復帰技、チャージ技、設置技など

を加えても良い。
 まず自身と対戦相手のキャラ理解としてどの技がどういう役割を担うものなのかを考えておきたい。例えば自分の持ちキャラであるパルテナルキナについて自分なりに考えてみると、

パルテナ

差し込み技
空前、空N、空後、(DA)、つかみ、NB、横B
差し返し技
空N、空後、DA、つかみ、弱
決め技
各スマッシュ、横B、空後、空上、空下、下強
死に技
横強、上強、(下強)
その他
上B、下B

ルキナ

差し込み技
空前、空N、空下、横強、下強、上強、つかみ、NB
差し返し技
空N、空前、空後、つかみ、上強、上B、横B、上スマ、弱
決め技
各スマッシュ、空後、空上、空下、NB
死に技
DA
その他
下B

という感じだろうか。もちろん厳密に分類できるようなものではないが、自分の立ち回りを意識する上での指標になり、相手の立ち回りを分析する上での一つの指標になるだろう。
 基本的に、差し込み技や差し返し技、およびそこからのコンボからバーストを取れるキャラはバーストが簡単、という部類のキャラとも言えるため扱いやすい。

3.1 中心差し込み技

 技の分類において、特に「中心差し込み技」、言い換えると「擦り技」は最重要な項目である。中心差し込み技というのは、各技の中でリスクが特に小さく誤った反撃にリスクを付けられる技、リスク・リターンのレートがやや壊れている技のことをいう。低リスクというのは単純に後隙が短いだけでなくリーチが長かったり、めくりができたりといろいろなパターンがある。大抵のキャラは1つくらいはこの中心差し込み技を持っているはずなのでそれをまずは確認したい。
 中心差し込み技は非常に強力で、これを起点にしてキャラの立ち回りが設計できる。使う際には立ち回りの中心としてN展開で見せびらかし誤った反撃や偏った逃げ方などを待ってバリューを取る、使われる際には発生を潰したり技の後の後隙にある読み合いに勝って相手の立ち回りを崩すことを意識したい。
 中心差し込み技は基本的には付き合ってはいけない技であって、相手キャラのどの技が中心差し込み技か、は何よりも最初に考えたいところである。これがわかっていないと永遠に「わからん殺し」をされ続けることになる。

 以上のように技をある程度意識的に理解しておくとキャラ理解がしやすく対戦相手のいる際も対策が組みやすい。まず相手の中心差し込み技とよく使われるバースト択を把握するところから始め、できるならそれの解答を用意できるようになるとわからん殺しがされづらくなりゲームがしやすくなるだろう。
 以下では一旦幕間としてガードと回避についての話をしておく。

4. ガードと回避行動

 以下からN展開についての話をしたいのだがその前にガードと回避についての話をしておきたい。一言で言えば「ガードは(強いけども)弱い」という話である。

4.1 ガードは弱い

 本作のガードは弱い。いや別に全く使えないという意味ではない。ガードしたところで結局損するだけ、という局面が非常に多いという意味である。それは、ガードからの反撃が非常に取りづらいという本作のシステムに準拠している。例えばガーキャンからのつかみは普通のつかみより4F発生が遅くなっている、ノックバックが大きすぎる、ガード硬直が長い、ガード漏れがある、そもそも全体的に技の後隙が少ない、ガードが削れやすい、移動回避が弱い、そもそもガード後にできる動きが少ないことなど様々な要因が考えられる。
 ガードからの動きが少ないというのは、ガードキャンセルでできることは

  • つかみ
  • 空中攻撃
  • 上スマッシュ
  • 上B
  • ジャンプ

しかないということで、上Bはキャラによっては死に択、上スマッシュはバースト対でしか振る意味がないことを考えると事実上掴みと空中攻撃しか無く、空中攻撃さえものぼりで当たるキャラは少ないため、多くのキャラはつかみしかない。めくりに対するリスクが全くつかない上に適当なリーチで振られた攻撃もリスクが付けられないということはザラである。つかみの発生が遅い場合全く何もないキャラさえいる。相手の攻撃をガードしたという本来有利な状況はむしろ不利展開を招くことさえ多いというのはしっかりと認めないといけない。ガードは弱いのだ。
 個人的にガードが弱すぎると最も感じる点は弱連をガードした際の反撃のなさだと思っている。これははっきり言ってやや設計ミスめいていると思っていて、結構な頻度で弱連をガードされてもそのままAボタンを押したままにしておけばノックバックと硬直で何も反撃がない。リスク・リターンの話からしたら流石に少しやりすぎな気がする。
 いずれにせよガードを強要される時点でベースとしてこちら側は択の少ない受動的な読み合いを形成されかねないという点は肝に銘じないといけない。逆に相手にガードを強要する動きを「固め」と呼び、特に牽制における重要な概念になる。どちらもある意味ガードが弱いことによって起こる話である。

4.2 回避行動は強い

 回避といっても移動回避(ガード+移動)という意味ではなく、ステップやジャンプでの避けと、地上でのその場回避をあわせて回避行動と呼んでいる。移動回避は無敵フレームが少ない上に後隙も大きくむしろとても弱い。
 本作は先程書いたとおりガードが非常に使いづらい性能をしているのだが、代わりにと言っても難だが回避行動全般が刺さりやすい。例えばピーチの横Bはガードからでは多くの場合ほぼ全く反撃が取れないことが多いが、ステップで避ければ大抵のキャラは後隙に攻撃を入れられる。本作はそういうタイプの技を持っているキャラが非常に多く、回避行動からの反撃が非常に強い。
 反撃の基本はガードよりもむしろ回避行動であることを肝に銘じたい。もちろんガードが刺さる局面も多数存在するし、ジャストシールドができるなら話は変わるがその世界は自分にはまだわからない。あくまでジャストガードができない状態の話なので、できる世界では大きく変わるかもしれない。

4.3 ガードと回避の使い分け

 以上の前提をもとにガードと回避の使い分けについて。ガードを振る局面は、反撃を期待せずに様子見や不利状況を回復したいとき、回避行動を振るのは反撃を期待して、N展開から攻めたいときである。
 例えば着地隙というのは、そこから攻めたいというよりはまず何よりN展開に戻したい局面であるため、着地にガード、というのは理にかなっている(読まれることも多いが)。また、相手が飛び道具を撒いている場合、それを回避したところで何も反撃がないため回避せずともガードでやり過ごす方が無難だろう。あるいは、ダッシュガードや崖前ガードなど相手反撃をねらうというより相手の出方をみるだけ、という場合ガードは有効である。
 一方で、差し合いの場合なるべく相手の行動にリスクを付けたいため、ステップやジャンプ、その場回避といった回避行動が刺さる。また、FE展開などで相手が暴れを選んでくると読める場合もガードのような反撃しにくい択よりステップなどで避けるほうが刺さりやすい。オンラインで引き行動が強いと呼ばれる理由は、とどのつまりオンラインはガン攻めや暴れといった攻撃択を選ぶ人が非常に多いからにほかならなない。ヒーローはガードしない、華麗に避けるものとは昔やった「ビューティフル・ジョー」というゲームの文言だったが今になって染みるものがある。実際上手い人の対戦動画を見ていると明確にガードが少ない。上手い人同士の試合はお互いガードをなるべくせず、そして相手にはガードをさせるような展開を作る。これが本作の差し合いの行き着く先なのだと思う。
 いずれにせよ、「暴れには引き行動(回避行動)が刺さる」というのは覚えておきたい。ガードからはめくられたり後隙がなかったりでたいてい反撃できないから回避行動しかないのである。

4.4 なぜガード依存症になるのか

 とくに初心者の頃というのはガードが非常に多くなることが多い。ガードが多くなり、同時に移動回避も非常に多くなる。これはなぜ起きるのか。
 おそらくはF展開を作る方法をガーキャンからの確定反撃以外知らない、もしくはそれに頼りすぎているから起こるのだと思う。相手の差し込みを待って反撃を取るというのは一見非常に安全であり安定もしやすそうである。実際それは強いしわかりやすいのだが、たぶん強すぎた上に本作はガードを意図的に弱くしたのではないと思う。お互いガードして相手の攻撃を待ち合うゲームというのはあまり面白くない。
 何にせよ、ガードからの反撃を取れないことを頻繁に嘆く人はとくに自分の立ち回りがガーキャン反撃からの展開を取ることにあまりにも執着していないか考え直すことが先決だと思う。ガーキャンは弱く使えないことも多い。そういうゲーム性なのである。ガードの弱さを認識し、しっかり差し込みや回避をできるようになれば立ち回りはぐっと成長するだろう。

5. N展開の機微

 以上のもとにこのゲームの中心であるN展開についてもう少し詳しく考える。N展開の至上命題は相手に展開の良い技を1ついれることであって、そのための読み合いのセットアップやあるいは一方的な封殺などである。
 N展開での立ち回りは基本的に牽制と待機の2つのロールがありこれらの応報になる。

差し込み(牽制)側
低リスクな差し込み技を振り相手の行動を制限しつつ、相手を固め、誤った反撃やガード解除、などのミスを待ちF展開獲得を狙う。
差し返し(待機)側
ガードやステップ、ジャンプ、飛び道具などで様子見をし、相手の迂闊な差込みへの反撃からF展開獲得を狙う。

 詳しく見てみよう。

5.1 牽制(差し込み)について

 牽制とは先に技を振って見せることで相手のリアクションを待つ行為で、相手のリアクションが自分にとって都合のいいものであることを求める行為である。もっと言えば多くの場合牽制の動きの主眼は相手の誤った反撃や偏った逃げ方を狩る「ミス待ち」である
 例えば、アイクで空Nをガードに対して撃った場合、実はこの空Nには着地隙が殆どない。それを知らず誤ってつかみを入れた相手に対してその場回避から技を当てる、というのは空Nという牽制択のわかりやすい効能だろう。クラウドの空前は多分多くの人が一度は即上Bや入れ込み凶斬りなどでひどい目に合っているのではないだろうか。多くのキャラの差し込み技は要するに牽制技であり、低リスクに振ることで相手に何かの動きを要求できる。
 差し込みについて重要なことは基本的には良くも悪くも相手のミス待ちでしかないことを理解することである。相手がミスらなくなればなるほど刺さらなくなり、微妙な読み合いが増え始める。相手の牽制にはなるべく付き合わないだけの慎重さを持てるようになりたい。

5.2 待機(差し返し)について

 待機は相手の技を見てその後隙を狙う動きである。ミス待ちの牽制に対してこちらは着実に返すことで相手に依存せずリスクを付けられるため本来はこちらのほうが強い。ただしそれは適切にリスクを付けられる場合であって、ガードの弱さや擦り技の多さ、ゲームスピードの速さなどから牽制に対して難易度の高い動きでもある。
 待機は大きくステップ待機とジャンプ待機に分けられる。ステップ待機はステップが優秀でダッシュからの差し返し択が豊富なキャラが、ジャンプ待機は空中攻撃からの差し返しが優秀なキャラが行う。どちらも相手の差し込みを待ち、無理な牽制技は無視して、取れる差し返しだけ確実に取ることが重要である。
 飛び道具待ちは基本的に飛び道具対処へのミス待ちであってこの意味では待機ではなく差し込みに当たる。
 ガードの弱さの項で書いたように基本的にはガードでの待機はあまり望ましくはない。ガードはあくまでも様子見に使いなるべく回避行動で待機するようにしたい。

 これらのロールはそれぞれの取り合いによってなされるし、それによって目まぐるしく交代する。ただキャラによってそれぞれどちらが得意、というような部分はありそれを意識できると戦いやすいだろう。また戦略面でどちらのロールを狙うか、相手がどちらの戦法を重要視しているか、どういった展開になっているか、といった部分を漠然とでも意識できれば脳死と呼ばれる状態からある程度脱却できる。
 まずは自分がどちらのスタイルが好きか、どちらを普段狙っているかを考えると立ち回りが洗練されるかもしれない。
 以下では各展開での鍵になると自分が考えてる部分について補足しておく。

5.3 N展開の鍵はライン

 ラインというのは台上で自分が自由に動ける左右の広さ、間合いのことだ。ラインが詰められている、というのは自身の自由にできる左右の広さが狭い状態、逆にラインを詰めているというのは相手の左右移動を制限している状態のことを指す。
 このゲームはラインを詰めれば必ず何かが起きる。それが自分に都合の良い変化か悪い変化かはわからない。しかし必ず何かが起きる。これもある意味ガードが弱いことに、回避行動が強いことに起因するのだが、ラインがない状況では引き行動ができない、つまりはラインがない状況というのは反撃という択がひどく制限されることになるのだ。また、飛び道具のようにある程度の間合いで差し込み択として機能する技はその機能を半ば失うことになる。そのため殆どの場合相手は反撃よりもライン回復を優先する。ラインを詰めた状態は牽制のバリューが高くなり、待機も非常に余裕ができる。ラインを詰めることで同じN展開でも選択肢の幅が全く異なるのだ。
 加えてライン回復の手段は大きく分けて4つしかない。

  • ジャンプ逃げ
  • 暴れ
  • 移動回避
  • 引き行動待ち(相手の暴れ読み引き行動を待って回復する)

 ここの癖読みをするだけでもN展開の立ち回りの硬さは大きく向上するだろう、たぶん。

5.4 牽制の鍵はすかしつかみ

 牽制は技を見せることでなにかの行動を誘発したり、ガードさせて固める事によって有利な読み合いを作り攻めることだが、この動きは逆に相手は誤った反撃などをしない限りはとりあえず安全、という場合も多い。自分にリスクはつかないが一方でリターンも何もない、という虚しい動きにもなるのだ。ケースによっては何踊ってんねんと呆然と見られることもある。そのためガードをすることにリスクをつけるつかみ、特にすかしつかみが非常に刺さりやすい。めくりDAや引き空前といった中心差し込み技をちらつかせた上での掴みを一度見せるだけでガード待ちには大きなリスクがつくようになり、ミスがより待ちやすくなる。
 つかみはそういう差し込み技だと理解できていると差し込みの深みが一気にましてやりづらい相手になるだろう。単なる攻めだけでなくそこを強く意識しておきたい。

5.5 待機の鍵は挑発

 待機は相手の技の後隙を狩ることだがもちろん、相手は差し込む際なるべく低リスクな技を低リスクに差し込むのだから、普通に見ているだけでは後隙がすぐ狩れるわけではない。むしろ誤った反撃は常に歓迎されているのだ。
 そのため、単に待機するのではなく上手い待ち方をし、相手を挑発し、狩れるタイプの振り方をしてもらうことが重要になる。とはいえ釣り行動のようなリスキーな動きは流石にそう何度も使えるものではない。あくまで挑発、相手に攻めるふりをして、ステップやジャンプで焦らして攻め込んでもらうというくらいの攻撃を出させる動きができるとその時点で読み合いの掌握ができる。どの動きがどう挑発になるかは難しいが、あくまで差し込みとのバランスが重要になるだろう。差し込みか、ただの待機かで焦らされるだけで相手は相当なストレスを感じることになるためしっかりとただ待つだけでなく挑発までできるようになりたい。

 以上N展開の応報についていくらか詳細を詰めてみた。N展開の応報は特に判断が難しく何をどうすればいいか分かりづらいが、以上のような展開の中での駆け引きがあることを意識できると試合の反省や、あるいは試合中の駆け引きに置いて判断がしやすくなるだろう。

おまけ5.1 ガン攻めについて

 牽制の強さはある意味ガードの弱さに依存して存在している。本作のガードがあまりにも頼りないため、攻撃を振りながらガードを擦ることで、かなりの低リスクで相手の何かしらの行動を誘発できる。ガードからの行動が少ない関係から上手く技を振ることで相手は延々と相手の動きにつきあわされることになる。これがいわゆる「ガン攻め」と言われる戦術で、正直かなり強い。上手いガン攻めができるだけでかなり勝てる。
 ガン攻めの狙いは、まず相手にガードを強要して「固める」こと。その上で、相手が誤った反撃を取ったり、甘えた逃げ、暴れを選択するという「ミス待ち」と、相手が反撃のなさに対応できない「わからん殺し」で構成される。
 パルテナで言えば通過空Nによるガン攻めはその対処がわかっていない相手には無限に刺さる。この技は一部キャラを除いてガードからのわかりやすい反撃がなく、ガードに振られている時点で負けである。誤ってジャンプをしてしまおうものなら40%近いダメージが見込まれる。最悪である。そして多くの人は思う。「パルテナの空Nせこい!」
 基本的にガン攻め対応策は付き合わないことしかない。ガードをしている時点で不利ということを肝に銘じ、間違ってもガーキャンなどなるべく狙わず、回避行動でのリスク付けや、擦り技(牽制技)の後隙ではなく発生の方を潰しに行くべきだ。相手の擦り技の後にある読み合いは良くてもNE読み合い、普通に確定反撃と誤解してしまえばNO読み合いを取られてF展開を作られるので後隙を狙うのやめたほうがいい。相手はこの後隙を誤って狩りにくることをまさしく期待しているのだ。キャラ対の最初の一歩として後隙の狩れない技=差し込み技の理解がある、とも言える。このことをわからない限り延々と擦り技でのマウントを取られ続けるし、ストレスが溜まるだけであろう。

おまけ5.2 立ち回りカードバトル(ダンス対決)

 このガン攻めが極まるとスマブラというゲームが読み合いのゲームではなく立ち回りカードバトルになる。お互いに完成したガン攻めのカードを押し付け合い、押し通せたほうが勝利するという催しだ。
 特にあるキャラの一連のガン攻めムーブを総称して「ダンス」とも呼ぶ。相手を無視して自己完結した踊りを見せびらかすという意味では気の利いた表現かもしれない。例えば。ゲーム&ウォッチでひたすら通過、引き空前と上B空下を押し付ける動きは典型的なダンスだろう
 このゲームの厄介なところはダンスが普通にかなり強いという点だ。実際相手が対応できないのなら、ダンスだけしているのが1番楽で効率的だ。ただもちろんダンスは万能などではなく、ダンスがある程度機能するには相手のガードや誤反撃を強要できること、相手が対策を知らないことといった条件が必要になる。またダンス対決でどちらが勝てるかは運やキャラ相性によって決定するため勝率が安定するとは限らない。そしてある時ダンスが通用しない相手にぶち当たり、大きな壁に直面する。ダンスの限界を知り、ダンスの対策を知り、読み合いの世界に入る、という流れがスマブラーの進む道なのかもしれない。

6. キャラ理解とキャラダイア

 以上で一旦立ち回りについてのあれこれについての基礎的な考えを書き終えた。その上で何を考えるべきか、という部分に触れていきたいがその前にキャラ理解についての話を少ししておきたい。この意識もまた、立ち回りを構成し分析する上で外せない要素になると考えられるからだ。

 キャラ理解、キャラ分類について考える。キャラの特性を分けるのは大雑把に言えば、待ち性能の優劣と差し込みと差し返しのどちらが豊富かということだと思っている。
 待ち性能というのは飛び道具などリーチの優秀さで相手をいかに動かせるかの性能のことを指す(用語として紛らわしいが待機性能とは微妙に異なる。待機性能は差し返し性能のことで別の軸になる)。言い換えると、待ち性能の優劣によってどちらが先に相手の方に近づいていかなければならないかを表す(差し込まなければならないかではない点に注意)。
 例えばサムスやトゥーンリンク、ファルコなどはリーチや発生の優秀な飛び道具や反射技を持ち、基本的に待ち合いになった場合自分が待ち勝てる「待ち性能の高い」キャラで、一方足が遅くリーチの短いガノンガオガエンと言ったパワーキャラは自分から近づかないとゲームが始まらない「待ち性能が低い」キャラ、という感じになる。
 一つの注意として近づく必要があることと、近づいてから差し込むのが強いことは微妙に異なる。その違いが以下で言う差し込み型か差し返し型か、という分類で、例えば待ち性能の低い差し返しキャラなどは自分から近づいた上で差し返しを狙う、というぱっと見分かりづらい動きが中心になる。そのあたりのキャラ特性はある程度理解しておきたい。

 差し込み型、差し返し型、というのは持っている技のうち差し込み技と差し返し技のどちらが優秀かという分類である。あるいはステップなど待機力の優秀さも含んでいる。非常に強力な中心差し込み技を持つキャラなどは差し込み型になりやすく、GC(ガードキャンセル)が豊富だったり発生の早い反撃技を持つ、ステップやジャンプ待機などが優秀なキャラは差し返し型になりやすい。
 以上をまとめて以下のようなキャラダイアを作ってみると面白い。

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キャラダイア
 上下の軸に待ち性能を、左右の軸に差し込みと差し返しのどちらを中心にしているかをマッピングする。どの象限にいるかであるていどのキャラ性能や傾向を捉えることができるだろう。

 試しに自分のキャラダイアを適当に上げてみよう。

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キャラ性能チャート
 正直あんまりわからないキャラも多くてかなり適当だ。適当だがそのへんはあくまで修正していけばいいのであって、まずこういうふうにキャラの概観を捉えることは非常に有用だと思う。ぜひあなたのキャラダイアをみせてほしいなあ、と漠然と思っている。
 画像は以下で作ることができる。日本語対応してないので注意。画像保存機能はないのでスクショで誤魔化そう。
Unity WebGL Player | Smash Bros Tier Grid Maker
 それにしてもこういうアプリをしっかり作っている人がいるところが英語圏の文化的強さだなあ、と思ったりする。日本にはたぶんない。僕が作ってみたいとも思うんだけどサーバーを取得するのが面倒でやる気が起きない。でもやる気がないわけではない。

 以上で立ち回りを静的に構成する、静的なゲームメイク、プランニングに必要な部分や考え方は一通り網羅した。その上で最後に、このゲームの勝率に大きく関わるE読み合いとO読み合いとの変換について言及して、結論へ向かおう。

7. E読み合いをO読み合いにすること

 スマブラの上手さはつまるところ読み合いの上手さと還元されるが、読み合いの原始的な形はじゃんけんであって、じゃんけんには必勝法がもちろん存在しない。このことは素朴な意味で言えば上手い人と下手な人との対戦において勝率が大きく偏ることと矛盾する。スマブラがじゃんけんであれば勝率は5割になるはずだ。つまりは、もちろんスマブラはただのじゃんけんではないし、ただのじゃんけんとしてやっている限り勝率は決して安定しない。ゲームウォッチのジャッジに全振りした戦法は8回に1回は運良く勝てる*4かもしれないが言い換えれば勝率を1/8にする戦法であって総合的には弱い戦法ということになる。勝負で大事なのは1回の勝ち負けよりも総合的な勝率、ということでもある。
 読み合いの分類の章の中で、じゃんけんな読み合いをE読み合い、グリコな読み合いをO読み合いと呼ぶことにした。そしてそれらは状況や相手の癖、誘導などによって変化する、と。
 このゲームの勝率を安定させる1番重要な部分は読み合いでない部分で勝つこと、2番目に重要な部分が読み合いを自分有利に偏らせる(O読み合いにする)こと、3番目にE読み合いで勝つことであると思っている。
 1番目はいわゆるダンスムーブやわからん殺し等などでの無双、確定反撃をしっかり取ることなどでの安定したターン継続で、これらは読み合いではないギミック的部分や確定的部分で勝利できる。一番勝率が安定しやすい方法で、ここから始めることで楽しさと勝率がある意味共存しやすい。一方で、対策がわかっている相手には通用せず、ここにだけ依存すると看破されただけで終了する脆い動きにもなる。
 2番目は今から語る読み合いのコントロールでただのじゃんけんをなるべくさけて、重み付けや誤魔化しなどで相手の択を読みやすくするセットアップで、フェイントや癖読みといった様々な方法を駆使してなるべく読み「合い」を避けて一方的に読んでいく部分である。これは非常に難しく方法も様々だが、相手も自分もまず最初にこれを狙っていることを意識できないと知らず識らずのうちにゲームが不利に偏ってしまうためしっかりと意識だけはしておきたい。意識するためのいくつかの、自分の考える断片情報を以下で解説していきたい。
 3番目はここでは語れないE読み合いでの勝利であって、要するに最後に残る運ゲーの部分であろう。この境地は明らかに遠すぎる世界であって、少なくとも当分は意識する必要もないし、あるいは意識できても同しようもない部分かもしれない。ただ、そういったじゃんけんの中にも、もしかしたら何かしらの機微があるのかもしれない。僕にはわからない。

 さて、そういうわけでE読み合いをO読み合いに変換していく方法について考える。このゲームは何も意識しないでいるとE読み合いばかりでそういう意味ではこの変換を覚えることそのものがゲーム性、ゲームの練習というふうに言い換えることさえできるかもしれない。
 方法は大きく分けて4種類になる。誘導、誤魔化し、バリュー差、人読みである。

7.1 誘導を入れて偏らせる

 比較的スタンダードなやり方。特にFEの読み合いはFOに変換されやすい。崖前で何かを設置して転がりを誘発する、崖でぴょんぴょんして攻撃上がりを誘発するといったパターンや、着地狩りの際にジャンプでのフェイントをみせて回避を誘発する、その他特異な釣り行動など様々なパターンがある。ただの崖上がりであればお互いの択は読み合いだがなにか動きをれれば相手はそれに影響されて動きが変わるし、ただの着地狩りであれば暴れや回避、ジャンプなど豊富な択があるがフェイントを置くことによって焦って回避してくれる人がいる、といったパターンだ。例えばガノンドロフで毎回横Bの後振り返って横スマをしていればだれも後ろに転がりたくなくなる。そういうふうに思わせたところでバースト帯でだけ前方向に攻撃を入れる、何ていうことができればこれは立派な誘導だろう。
 誘導、フェイントの仕方は人やキャラによってまちまちでここで一括して語ることはできないが、これこそ上手い人の動画の中には何かしらのヒントがある気がする。つないでいる非確定コンボや崖狩りなどについては特に注目してもいいかもしれない。ただ、上手い人同士の対戦はお互いフェイントや誘導を知っている状態での戦いなので案外見つからない……かも……?

7.2 択そのものを誤魔化す

 これもFE展開で最も有効だが、試合を高速化して判断を鈍らせる、非確定なコンボを確定コンボだと偽装するなどといったパターンがある。崖上がりやガノンの横Bからの読み合いは誰でも見た瞬間読み合いだと分かるためじゃんけんになるが、複雑なコンボの終端での読み合いは人によっては理解できず食らってしまったり、高速でのガン攻めで相手を翻弄すれば相手はわけも分からず読み合いを間違えることがある。誘導に近いが非確定なダウン展開に対してすぐさま走っていくとビビって前転がりをしてしまう、なんていうのもある。とっさの判断や相手の理科が及ばない択は癖が出やすく狩りやすい。相手を翻弄する読み合いを作るコツは持っておきたい。

7.3 バリューに差をつける

 片方の択はバースト、片方の択は小ダメージのようなバリュー差を付けれられればある程度は小ダメージの側に相手の択を偏らせることができる。ゼルダの下投げは低パーセンで内ベク変だと空後クリティカル、外ベク変だと空Nが確定するが、この場合空後クリティカルは流石に痛く、基本的には空Nの側に偏らせやすい。このようなバリュー差による誘導はある程度だろう。
 ただしこれは相手がしっかり両方の択のバリューを知っている必要があるため、ある意味弱い人には通じない択だったりする。あるいは全く択がランダムになるような世界だとかえって通用しづらいかもしれない。また、あくまでも最大リターンは何もくらわないことなので、リスク承知でそちらを選ぶ場合もある。ややEvenに近い面もあり少し安定はさせづらい。

7.4 人読みで偏りを見つける

 最もメジャーなやり方。この人は毎回転がり上がりをする、この人はガードをこすられると必ず掴む、この人はそもそも受け身ができない、この人はライン回復にジャンプを多用する、この人は……といった人読みのパターン。これもいろいろな部分にチェックポイントがあり、ある意味成長に最も時間がかかる部分な気がしている。意識的にたくさんの相手の択を見続けることである傾向がぼんやりと見いだせる、といった感じだろうか。
 これは誘導や誤魔化しと合わせて機能する部分で、本当に難しい。上手い人の動画を見てすぐ分かるものでもないし、何度も書いている通りある程度実力が上がるにつれてわかりやすい癖というのはどんどんなくなっていく。個人的にこの部分は練習の費用対効果があまり高くない部分で、最終的には必要になるものの比較的後回しでもいいのではないかと思っている。崖上がり毎回飛んでるくらいのわかりやすいものがあったら狩る、というくらいでもいいのではないかと思う。
 強いて1つ言うなら、防戦のときが最も癖が出やすい傾向がある気がする。攻めやニュートラルな状態では択が散っていても「復帰が毎回上から」とか「着地に毎回ガードをする」とか「飛ばされたらすぐ回避をいれる」とか「受け身は毎回前転がり」とかそういう部分の癖はわかりやすくバーストにも繋がりやすいのでその部分から始めるのがいい、気がする。

7.5 別の対処法を探す

 以上はE読み合いが発生した際にそれを偏らせる方法についての話だったが、以下ではそもそも以下にしてE読み合いを避けるかという部分について考えたい。例えば、相手のアイクがバースト帯になって空Nをブンブン振りだしたとしよう。これに対する対処方法は色々あるが、対処法によって発生する読み合いが違う。
 例えば着地隙を狙おうと思ったとする。ただ実は着地隙が少なく確定反撃はそこまでない。それゆえに実は着地後にはNEの読み合いがありそこに勝たないと狩れない。一方で発生を潰そうと思ったとする。実はアイクの空Nは発生がそこまで早くないため発生をマークされると厳しい局面がある。こうなるとNO読み合いに近くなる。
 あるいは、相手のクラウドが同じくバースト帯で空後をブンブン振り出したと考えよう。これに対して後隙を潰そうと思うとこれも後隙が思いの外少ないためNE読み合いに持ち込まれ美味しくない。発生を潰そうと思うと、思った以上に発生の早い空後に翻弄されて後隙を狩るよりはNO読み合いに近いがそれでもすごく美味しくはない。この技は持続があまり長くないため、リーチが短くない引き空前で反撃すれば比較的取りやすい。
 あるいはどちらの話についてもジャストシールドができるのであれば話はもっと簡単になる。
 このようにNE読み合いになっている場合それより前に解消法がある場合もある。別の対処法を探す、というのも重要な選択肢だろう。

 以上読み合いの変換についての話を書いたが、おそらく最終的に上達に一番時間がかかりいちばん重要な部分はこの変換の部分であると思う。常に、どういう読み合いが構成されているかを意識して、上手い人の誘導方法などを真似ていければ勝率は安定しやすい、と思う。

8. 結論:試合中と試合後に考えること

 さて、いよいよ本記事の結論に当たる部分である。今までの部分も重要でとにかく各項目をしっかりと意識のうちに入れておくことは価値があると思うがその上で、以下に書く考えがしっかりと実践できれば成長速度は無意識に対戦を行うよりもよっぽど効率的である……と思う!
 一緒に頑張ろう!!

8.1 どの展開で技を食らったか考える

 個人的に一番大事な部分だと思っている。極端な言い方をするなら攻撃を食らうというのはそれ自体がある意味ミスである。完全な理想論で言えばノーダメージ勝利こそが最も望ましい。
 そういう意味で、自分が攻撃を受けたときにどの展開のどの読み合いでダメージを受けたのかを検討する癖がつくと成長は格段に早まると思う。ダメージを受けるタイミングというのは基本的には以下で分類できる。

  • 安易な差し込み
  • 誤った差し返し
  • ガードへの掴み
  • 誤ったガード解除
  • 設置攻撃にひっかかる(ジャンプ、回避読み置き攻撃など)

 まず技を食らったときにどういったミスで技を食らったのかを考えたい。それが読み合いに負けて食らったのか、雑な差し込みや差し返しをしてしまったのか、読み合いで負けた場合はその読み合いはEvenだったのかOddだったのかそういったことを意識した上で、相手に何を通されているかを読み取っていき、相手の攻め方のスタイルを理解したい。
 もちろん試合テンポが早く全攻撃にそれをするのは難しいが、あくまでも意識として攻撃を食らったときどういう展開から食らったのかは意識できると強い。
 このことで特に重要なのは同じミスを2度しないことである。例えば1度相手の中心差し込み技(後隙のない技)に誤って入らない反撃をしてしまって攻撃を食らったとする。そのことをしっかり認識できないともう一度同じような押し付けに気づけずまた同じ反撃を食らってしまうが、しっかりと「誤った反撃をしたこと」を理解できていれば同じ手は2度食わない上に、相手のや相手キャラの強みを1つ学習できる。このようにしてレパートリーを増やしていければ成長速度は意識的に上げることができるだろう。
 また、Evenな読み合いで敗北した際にはそのこと自体は気にしすぎる必要がない、というような反省の仕方もできる。運ゲーに近い状態で負けたのはその部分自体は改善のしようがないので、今の部分自体は仕方ない。むしろその前の部分について考え直すほうが生産的だろう。
 自分がダメージを貰った局面を意識しどういうミスでそれが起きたかを考えることで、相手の立ち回りの狙いや志向などを冷静に分析することができる。それによって、ダンスに対しての対処を考えたり、自分が何故負けたか、という点に意識を巡らせることができる。1つのファクタとしてどういう点でダメージを貰ったか、特にバーストはD展開やN展開のどういう読み合いだったか、どの差し込み技から持っていかれたか、最後の読み合いはどうセットされていたかそれともじゃんけんだったか、といった部分を考えられると成長しやすいだろう。これは他人の動画を見る際もある程度意識できると面白い。私の尊敬するこの人は、こんなに上手いのにいったいどういうときに技を受けてしまうのか、と考えると上手い人のテクニックや展開の作り方を吸収しやすいだろう。

8.2 1度通った択と通らなかった択を覚えておく

 前とは逆にこちら側としては1度通った択は可能なら何度でも通したい。相手に攻撃を当てられたときにどうやって通したかを意識して、もう一度同じものを振ってみる、というのも重要である。次も通るならやり続ければいいし、通らないのならその択は覚えられたことになるのですぐに辞めておく、という動きである。特に後者の通らなかったときに一旦諦める、というのが重要に思う。
 スマブラはカードバトルになりがちで自分のやりたい攻めを通すことに通しても躍起になってしまう。確かに通るのならダンスは強力な上に楽で、可能な限りやり続けたいものだが、通ってないのならそれは隙を晒すだけの行為にしかならない。通らないものはすぐに引き下げて次の択を用意できないと読まれるだけの動きを繰り返すことになる。自分のやりたい動きに固執するとすぐにただのカードバトルになってしまう。しっかり通らないものを理解して、通るものだけ押し通していきたい。理想としては何枚もカードを持っていて、相手の対応に合わせて変えられると、自分が主導のゲームを作ることができ非常に戦いやすいだろう。そうすることで相手の自分のムーブへの対処も覚えられ、癖読みという最も難しい部分も進められるかもしれない。
 何が通ったのか、そして何が通らなかったのかはしっかり意識して特に通らない動きに固執しない点は重要視したい。

 上の両方について言えるが攻めでも守りでも「決まった正解ムーブに固執しないように意識する」という部分に一番の焦点がある。ある状況において最も優秀なムーブというのは確かにある。リスクが少なかったりリターンが大きかったり、最も通したい択というのは確かにある。あるが、それしかないのはあまりにも弱いのである。D展開で毎回ジャンプ逃げをしたり、F展開で毎回復帰阻止に来たり、というのは単体では強くても連打して強いものではない。
 決まった正解ムーブ症候群から脱却して柔軟に択を変えられるようになるために、何でダメージを食らったか反省し、何が相手に通じてないかを意識することは非常に重要なのである。やりたいことではなく通る択を選ばないと始まらない。このことは肝に銘じたい。

8.3 どういう展開が作りたいか考える

 これは特に試合中のN展開での話だが今から自分がどういう展開を作りたいと思っているかはある程度意識的に考えたい。具体的には自分と相手の%をしっかり意識してそこから何がした以下はプランニングしておくべきだろう。大きく分けると以下のように分類できる

自分 相手 展開
コンボからのバリュー、展開意識の技
決め技を取れる展開を作る、道連れ注意
バースト拒否。リスキーな技は極力抑える
慎重に相手の隙を探しつつ大胆に

 当たり前のような気がするが、案外バースト帯でもないのにスマッシュを振ってしまったり、バースト帯なのにF読み合いを作れない差し込み技ばかり振ったりというノープランな人は多い気がする。まあ自分のことでもあるのだけれど、展開を意識して技を振れないのはかなり弱い。そのパーセント帯でどれを狙いたいか、大きく言えば展開かバーストのどちらを狙うべきかはしっかりと考えたい。バーストを狙う中でも崖外からなのか、空中なのかと言った部分までできればしっかりと考えを整理しておけると良いだろう。スマッシュやカウンターは基本的にはバーストにつながらないと弱い。リスクの割に当てたときの展開が美味しくなさすぎるのだ。そういったことを体感的に理解していないといつまでもノープランな動きは抜けないだろう。
 しっかりと作りたい展開は常に意識してプレイしたい。

8.4 他のことを考えすぎない

 以上の3つに加えて重要なこととして考えることを増やしすぎない、というのも重要なことだと思っている。「試合中頭を使えないと勝てない」とは非常によく言われることだが、実際何に頭を使えばいいか、と白紙の盤面を見るとどうしても途方に暮れる。考えるべきことが多すぎるようで何からどう手を出せばいいのかさっぱりわからないのだ。
 ある意味そういう途方に暮れる状態に1つの目盛りを、指標を与えんと欲したのが今回の3つ、

  • 技を食らった理由
  • 通らない動きの理解
  • 作りたい展開の意識

ということになるのだが、ここで重要なのが、あれこれと手を伸ばさずに以上のことに徹することだと思っている。人間が一度に意識できることは少なく、ましてや複雑な操作の中で何個ものことを同時に考えるのは非常に難しい。
 なるべく考えることは焦点化し、簡略化し、その上で対戦の前に考えられることを考えておくことで試合中の思考領域の使用用途は絞っていきたい。それは例えば操作に意識を奪われないとか、キャラ対策に意識を奪われないといった、対戦前の対策、練習が物を言う部分である。まずは上記のことをしっかり意識して他のことにはとらわれないようにする、という取捨選択も重要だろう。そこからだんだんと手を広げればいいのであって、まず最初の焦点化として以下の部分に集中できるような準備と実戦での集中力はしっかりと鍛えていきたいと思う。

8.5 おわりに

 というわけで以上、試合中にいかに頭を使うか、という部分、立ち回りをいかに強くしていくかという部分について考察したものをすべてここにまとめた。前回のブログから、あるいはその前から、今日までの集大成というべきものであり、結果としてまたもや30000文字以上の超大作となってしまった。ここまで読んでくれた人には大きな感謝と労いの気持ちしかない。ありがとう。。。ありがとう……!
 立ち回りを鍛える、という話は非常に難しい。コンボの練習をしても、知識を増やしも、どうしても立ち回りの弱さというのが気になって仕方ないということは少なくない。自分の立ち回りが弱いことが分かってもではどうすればいいのかとなると一気に途方に暮れるのは日常茶飯事である。
 だから、なんとかその状況を意図的に脱却したいと感じ続けてきた。貰ったアドバイスがどういう意味を持つのか、勝てない理由はどうしてなのか、何が自分に足りないのか、上手い人の動画はどういうところがすごいのか、といった抽象的な問いかけがいつも頭に渦巻き、行きどころのないもやもやがどこまでも残り続けてきた。
 今回挑んだのはそういった部分の解消である。アドバイスを貰ったとき、それがどういう意味をしているのか理解する、勝てないときどこに原因があるのか追求する、立ち回りの理解として何が足りないのか理解する、上手い人のリプレイを展開や読み合い、技の分類などで分析する、といった画面全体の1つの「読み方」をとりあえずの形でまとめることができたと自分は思っている。もちろんこれは「盤面」という大きな白文への1つの読み方、ルビの振り方に過ぎない。他にももっと優れた読み方があるかもしれないし、あるいは読み方なんてものはないのかもしれない。だが、まず最初の一歩としてある種の解釈を以て途方も無いスマブラの世界への足がかりとなれればそれだけでも価値があると信じている。
 自分もまだまだ開拓途中で頭で考えてることと実際の操作が全然一致しないし、できることが少なすぎると言った問題は無数にあり本当に赤子のような状態でしかない。
 けれど、ひとまず考えをまとめきることで、今からどういう練習を、意識をすればいいのかといった1つの希望のようなものはようやく持てるようになってきた。今まで漠然とただ勝てないことを嘆いてきたことを考えると前進できた、とそう信じている。
 スマブラに関わらず何を鍛えるというのはときに道すらない荒野を当てもなく開拓するような絶望感さえあるが、それでも全くの暗闇ではないはずだ。1つづつ、頭を使って、この寄る辺のないまっさらなノートに罫線を引いて行けたら嬉しいと思う。
 もし参考になったりあるいは新しい考えがあったらブログにコメントとかネットで拡散とかしてくれるととても嬉しいです。あ、でも叩かれるの嫌なので非難はテレパシーでしか受け付けてません! ごめんね!!
 長ったらしく書きましたが、色々試行錯誤して一緒に頑張りましょう!! ということです! ありがとう。がんばろう!! 大会やメイトで会いましょう!

9. おすすめや参考にした動画、ウェブサイト

 参考にしたものや参考になるものを紹介しておく。最近は動画よりもブログやウェブサイトのほうが必要情報を見つけやすく可読性やわかりやすさの面でありがたいなあ、と思ったりする。というか、「見て学ぶ」というのは想像を超えて難しいというのがわかってきた。何をどう学べばいいのか思った以上にわからず、なんか学んだ気がするだけになりやすい。そのため学ぼうとする人はまず文章や解説がしっかり入っている動画から始めるのがいいと思う。映像はぼーっとしてても流れていってしまうので、「流し見しただけなのになんか見た気になる」ということが地味に多いのではないかな、とか。文章などである程度見るポイントを抑える→動画で実戦、みたいな流れがいいのかな、と最近思う次第だ。何にせよ必要な知識や情報は貪欲に吸収していきたい。
 というわけで文章系のサイトをメインで紹介していく。

9.1 知識の宝庫Smashlog
smashlog.games
 知識や技術について常に新鮮で適切な情報を提供し続けてくれる最強のデータサイト。とにかく参考になり、そしてこれからも参考になり続けるサイト。こういうのをプロがやっていくのは本当にすごいことだと思う。
 ここ最近で一番好きな、おすすめ記事はこれ。
【スマブラSP】キャラ対策の基本 | 強い技への対策方法の考え方 | Smashlog


9.2 最強データベーススマブラwiki
smashwiki.info
 個人的お気に入りのスマブラデータサイト。細かい技名やステータスからキャラデータについてまで非常に詳細に書かれておりとにかく楽しい。パルテナの空Nは「四方の環」。ルキナの後ろ投げは「レッグフッカー」。

9.3 やはり頼りになるスマブラ検証wiki
w.atwiki.jp
 フレームシートや遅延検証から細かい仕様の数式まで幅広いデータが網羅された優良サイト。困ったらここに訪れる。

9.4 心的資源
dx.smashbr0s.com
 スマブラでの心的資源という概念の話。非常に参考なる。無意識に操作できることの重要さ、は意識したい。

9.5 フラッシュ理論
fgamers.saikyou.biz
 スマブラの立ち回りについての考え方の話。明瞭な上に実力者の言うことで重みがある。一読の価値があると思う。

9.6 キャラ対メモ
スマブラSP用私的キャラ対策メモver6.1.0(12/10更新) - 雑に綴る場所
SP用マルス視点各キャラ対策メモ完成版(7/28更新) - 雑に綴る場所
 りぜあすさんのキャラ対メモ。非常に参考になる。こうやってこの分量を、情報量をまとめてるのは本当にすごいなあ、と思う。

9.7 スマブラ全キャラVIPへの道
fjihole.hatenablog.com
 全キャラVIPの筆者が各キャラを実際に使った感想、コツなどを書いている。1人の人がここまで全部書くのはすごい。また文章が絶妙に面白い。キャラ理解の参考になるかもしれない。

9.8 Protobanhamさんのnote&質問コーナーまとめ
docs.google.com
note.mu
 トップルキナ使いのProtobanhamのnote及び質問コーナーの解答をまとめたもの。質問コーナーは内容の充実度と非常に綺麗に分類されている点なども素晴らしい。

9.9 raitoさんのnote
note.mu
 トップダックハント使いのraitoさんのメモ書きをあつめたもの。簡単な解説記事がたくさんあり参考になる(キャラ紹介記事がXで止まっているのが個人的には少し残念)。

9.10 あんかーさんのnote
note.mu
 ピーチ使いのあんかーさんのメモ書き。個人的にとても参考になったのでおすすめ。内容として通ずる部分も多いかも。

9.11 えつじLIVE
www.youtube.com
 僕が好きなだけ。自分はルキナパルテナ使いなんだけど最近えつじさんもパルテナ使いだしてくれて嬉しい。相思相愛。最近はアーカイブをあんまり残してくれてないので少し寂しい。

9.12 あこちゃんねる
www.youtube.com
 パルテナ使いのあこさんの配信。個人的にパルテナ使いとして参考にして、応援している。

9.13 kokeshiたろうちゃんねる
www.youtube.com
 パルテナ使いのkokeshiたろうさんの配信。テレキャンをめっちゃする。話がなんとも言えず面白い。

9.14 ウメハラの本(勝負論)
勝負論
 最後に本を1冊。プロゲーマーウメハラの考え方をまとめた本。個人的にかなり好き。深く考えること、常に成長を望むこと、近道ばかりをもとめないこと、等々色々と感じるものがある。また、個人的にはまえがきの「自分は今こうして本を書く機会に恵まれたがこれはラッキーであって同じようなことはきっと自分以外にも知っている」という話はなんというか、感心してしまった。
 そういうわけで色々ととても良い。ぜひ買って読もう。リンクから購入しても僕には一銭も入らないので安心して(?)クリックしてください笑

10. おまけ

10.1 弱い人が弱い理由

 このゲームは弱い人と強い人がいる。自分より弱い人を思い浮かべてその人が「なぜ弱いのか」を具に分析してみると案外発見がある気がする。自分が思うには以下のようなパターンがある気がする。

  1. ガン攻めしかできなくて弱い
  2. キャラ理解や基礎知識が不十分で弱い
  3. 択の意識がなくて弱い
  4. 基本的操作がままならなくて弱い

このそれぞれの弱い理由は誰かとにおいて以下の図のように分布しているように思う。
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 青い線がそれぞれの弱い理由の分布帯である。例えば、「ガン攻めしかできなくて弱い」は指し初期からVIPに至るまでわりと陥りがちな部分という感じ、逆に「基本操作がままならなくて弱い」というのは下位2%くらいの話、という感じだろうか。
 自分より弱いな、と思うことがあったらその理由を分析していろいろと考えてみると自分がまた弱い理由についても冷静に分析できるかもしれない。またVIPに行きたい人は4,3,2,1の順で練習するのがおすすめだと思う。

10.2 中級者と上級者の定義

 たま~に話題になる中級者の定義の話を少し。自分的な中級者の定義はVIP到達程度だと思っている。流石に上位3%到達で初心者を名乗るのはケースによってはややイヤミとは言わずとも違和感があるし、だからといって上級者と言うには流石に抵抗がありすぎるので中級者という表現が妥当に思える。
 一方で上級者の定義は「中級者以上のひとからあなたは上級者だ」と言われることだと思っている。上級者はさらに定義が難しく例えばメイト1600以上は上級者かな、とか個人的には思うけれど、そもそも上級者は流石に自分から名乗る人も少ないので、そういう意味で他人から上級者だ、と認定されるという基準はユニークながら適切に思える。
 雑多な話ではあるが割と定義として気に入っているのでなんとなく書いておく。

10.3 初心者が上手くなるコツ

 初心者というのはVIP到達未満くらいの話だと思って書く。自分も別に指南できるほど上手いわけではないのだけれど、最近思う上達のコツについて少しばかり書いておこうと思う。前回のブログの補足のような部分でもある。
 最初に書いたとおり、ゲームの上手さは知識、技術、立ち回りに分解できて、そのうち知識と技術は立ち回りに比べれば簡単に身につきやすい。そのためまず知識を学ぶところから始めたい。
 基礎的な知識や技術であれば、自分の前のブログだとか知識の宝庫Smashlogだとかいろいろな人のブログだとかを参考にすると良い。知識、操作がある程度行って自キャラの理解が進めば後は実戦で立ち回りを意識していけば自ずと上達していくと思う。まずは押し付けのダンスムーブから始めると良い。
 キャラ選びについては自分が一番強いと思うキャラを選ぶべきで、Tierランクはそんなに参考にしなくてもいいと思っている。他人の受け売りで選んだキャラは納得しづらい面が多いし、後で自分の使うキャラに限界が来たら別にその時変えてもそんなに苦労するわけではない。やはり勝てるのが一番なので、自分が使ってて1番強いと感じるキャラを選ぶのが良い。ただ、一部どう考えてもつらいキャラみたいなのもいるのでそういうキャラはうっかり選ばないほうがいいと思う。具体的にはキャラランクの下から2つくらいは一応おすすめはしない(それでも自分が強いと思うならいいけれど)。それ以外ならキャラランクは気にせず好きなキャラを使うのがいいだろう。他人の受け売りで選ぶと割と後悔するので自分で頑張ろう。どうやっても選べないなら、待ち性能が高くて、差し込めるキャラが一番やりやすいと思うのでそういうキャラを選ぼう。またこれは個人的な意見だが、「適当にやって強いキャラ」は「適当」から先に行くモチベーションを得にくく成長しづらいため個人的には癖のあるキャラのほうが逆にいいと思っている。
 キャラが選べたらキャラの特性について研究してみよう。まず、技の分類と待ち性能について考え、その上でどの技でどう立ち回っているかを中心に上手い人の動画を見ると良い。ようつべで「キャラ名 VIP」とかで調べると色々出てくるので色々見て使えそうな部分を貰っていこう(たまになんかちょっとなあみたいな動画もあるのでそういうのはスルーしたい、量産型は要注意)。
 以上で後は実戦あるのみ! 直感で動かしながら感覚と操作精度を上げていく。そしてそれが一通りになったら立ち回りを鍛える! ……なんだけど注意したいこととして細かいコンボの練習し過ぎは良くないなあ、と最近思う。割と頻繁に、コンボ精度がすごいのに立ち回りが弱い人を見るのだけれど、とてももったいないと感じる。そういう人は大抵その複雑なコンボに意識を割きすぎている、あるいは、そのコンボしか立ち回りで狙っていない、といったパターンだったりするのだが、しかしそれでは勝率は取れないしそうなるとせっかく練習したのに勝ちに結びつかないという非常に悲しい状態になる。必須コンボのような物は確かにあるが、その一方でロマンコンボや用途の少ないコンボというものもある。というかコンボはあくまでバリューを上げる択なので必須バースト択でもなければそんな複雑なコンボの練習は必要ない。簡単な、できるコンボだけでも大抵のキャラはなんとかなるので、複雑なコンボや空ダの練習をするよりは立ち回りを鍛えたほうがいいと思う。
 以上、初心者でも中級者でもやるべきことはそこまで変わらないと思う。適切に操作精度や知識を増やして、立ち回りを鍛える。VIPに行くまでの話はやはり前のブログのほうが詳しいのでそちらを参照されたい。

10.4 いろいろな人から学ぶこと

 こういう実力がゲームでは仕方のないことだが、何かを学ぼうとするときに、とにかく上手い人からだけ、何なら一流どころだけから教えを請おうとする人は多いけれど、なんというかそれはもったいない気がしている。これは別にゲームについてだけでもなく勉強についてもそうなのだが、トップだからといって必ずしも教えるのが上手いとは限らない。基本的にどんな人間も他人に説明できることというのは「自分がある程度苦労して得たもの」だけだと思う。「もとから持っている能力」というのは他人に説明できない。それは多くの場合「なぜ自分が優秀か?」という疑問はあまり考えないからだ。ゆえに上手い人というのが場合に依っては「もとからできる人」だったりして、あまり本質的な話がもらえないケースはある。しょうもない例だが、僕は巻き舌というのがどうしてもできなかったが弟と従兄弟は元からできた。そこで当時の僕は弟や従兄弟にどうやってできるのか聞いたりしたものだが、いくら聞いても「できるからわからん」としかならなかった。結構悔しい思いをしたのだがどうしようもなく、ある種の諦観があった。しかししばらくした頃ふと気になってインターネットで調べると同じような経験談を踏まえながら練習情報を公開しているサイトを見つけた。そして同じように練習したら、できるようになった。できる人から聞くというだけではわからないものというのはたしかにある、という非常に卑近な例かもしれない。情報は広く集めたほうがいいだろう。
 もちろん上手い人から教えを請えるというのは非常に贅沢で素晴らしいことなのだが、そこから学んだことだけを絶対視して、意味を考えないと、あるいはそのアドバイスがしっかりと身にしみてるかどうかは確認しないと、効果は半減してしまうだろう。人から学べることというのは意外に多い。せっかくの機会をみすみす逃さないようにしっかりとアンテナを張って使えるものは何でも使えるようにしたい。また、この人は上手いから言っていることは全て正しい、というような盲信は絶対に避けるようにすべきだと思う。
 あとこれはまあ少し別の話だが「上手い人は大抵同じような考えで教えを請いに来ている人がめっちゃいて人気な上に、自分自身も緊張し萎縮してしまうので結果として話を聞きづらい」というのは少し感じる。上手い人からだけ学ぼうとするのは難しいなあ、と感じる所以である。

10.5 煽り対策

 このゲームをやっていると必然的に経験するものの1つに煽りというものがある。主に「だれかと」がメインだが、アピールが廃止された代わりに屈伸(しゃがみ連打)をするのがよくあるパターンだろうか。正直鬱陶しい。意味わからんし、お前誰やねん、となる。少しムカついて処刑してやろうという気分になる。なるのだが、仮にそれで実際処刑できたとしても、そう思った時点でメンタル勝負としては残念ながら負けている。とにかく何も感じず平常プレイを続行できるのが理想だ。そっちのほうが勝率は高まるし、煽りは何も反応してもらえず淡々と処理されるのが基本的に1番つらいのだ。
 ではどうやって何も感じないようになるか。これはウメ本でも語られていたが、まずは何も感じていない人の行動を形式的に真似て見るところから始めるのが良いと思っている。実際にイライラしていても構わない。だがとにかく行動、言動としては全く何も感じてない人と同じような動きを意識するようにする。煽り耐性の高い人を見つけて何をしているのかを真似するのだ。その人が、全くガン無視なのか、嘲笑しているのか、何か適当なコメントをしているのか、なんでもいいがとにかくひたすらそれを真似てみる。すると、それを繰り返すうちにだんだん本当に何も感じなくなってくる。行動に思考が誘導されるのだ。
 一度この煽り耐性を獲得すると強い。おそらくいろいろなところで役に立つ。確かに煽ってくるやつは処刑したいと思うのは誰でも同じだが、煽るやつは大抵処刑されないと思って、処刑されにくい立ち位置から煽っているので、煽りに乗るというのは相手の土俵に乗るということでもある。煽りに乗ってしまうのはどうやっても不利なのだ。煽りに乗るとしても感情的ではなく確実な勝算を以て乗るべきであって、そうでないなら関わってはいけない。そして確実な勝算など基本的にない。だからスルーが安定なのである。
 ここまで見てみると「むしろ先攻煽りが最強なのでは?」という気がしてくる。確かに耐性のない相手を一方的に崩せるし、そうでなくてもニュートラルな勝負になるだけなのだから最強かもしれない。これはある意味一理あって、人生は煽り得な面は割とある。憎まれっ子世にはばかる、なんとも悔しいが仕方がなかったりする。だからこそ煽りが跋扈し、故に煽り耐性が大事になってくるということでもあるのだが、もちろん煽りにリスクがないわけではない。煽りのリスクは自分が思う上では2つある。1つは、「煽ることに思考領域を奪われること」、もう1つは、「リアルの立ち回りをかなり犠牲にすること」である。どちらも割と致命的だ。
 前者は「煽ろう」という意識を持つ時点で対戦にある意味集中できてないことを意味する。そんなことを考える暇があるなら立ち回りを強くしたほうが良い面もあるだろう。特に相手が煽りに反応しない場合は煽りに思考領域を使う分損でしかない。また後者については言うまでもない。煽りは基本的にはリアルでの立ち回りを代償に行っている行為である。極端な話、最終的に対戦相手がいなくなったり、本当に誰にも相手にされなくなる。匿名性が担保されていても世の中とは怖いものである。思わぬところでツケを払う羽目になることがある。そしてそのツケは決して安くない。また日頃から煽り癖がある人は、行動が思考に影響するという話を考えると、その他の日常的にも問題行動を起こしやすい可能性がある。
 いずれにせよ煽り耐性はあるに越したことはない。煽りを見て処刑動画を撮るよりは、煽りを鼻で笑えるくらいの余裕をつけるよう鍛えていくのがいいと個人的には思う。煽りはムカつくものだが一緒に頑張っていきたい。
 話は少しづれるが相互理解があるのなら、リスクをイーブンに持っている(煽安全圏からの煽りではない)状態なら、煽りというのはゲームを盛り上げることも無くもないと思う。少年漫画の最後の1騎打ちで、ボスキャラが主人公を煽るような、そういう燃える展開というのも悪くない。これはもはや楽しくなりさえする。ただこれは相互理解があって初めて成立するのであって、間違っても何も知らない状態でやるものでもない。加えてスマブラの場合いくら煽ってもやることが屈伸だったりして絵面が致命的にダサいだけなので難しい。やはり煽らないのが安定ではある。煽りはやめよう。しま○ろうとお約束だよ。

10.6 内発的でない知識は役に立たない

 最後の最後にすごく大事だと思うことをちらっと書いておく。内発的でない知識は役に立たない。内発的な知識というのは自分で必要性を感じた知識のことで、例えば相手にガードをされまくってなすすべがない、という課題意識から「すかし掴み」という択を得るようなケースだ。こういうパターンは知識が非常に活かしやすく、またなによりも必要性から生じるため実践的な効用が高い。一方、ただ適当に「すかし掴みをしたほうがいい」といわれてなんとなくやってみる、というような形は全く役に立たない。知識を得る際は「どういう状況で、どういう理由でそれが必要なのか」をしっかり納得する形にしない限りはむしろないほうがマシでさえある。このことはアドバイスを貰うようなときや、あるいは自分で勉強していく中で常に意識したいと思う。なぜその知識が必要になるのか、それはどこでどういう理由で使うのか、何が有効なのかは自分の納得できる形になるまで妥協しないほうがいい。たとえどんなに上手い人に言われたことであっても、その一線はしっかりと保ちたい。仮に結果としてわからないまま使って勝てるようなときでさえ、理由がわからないうちは取り入れるべきではないと自分は思っている。もちろん、試していくうちに効用がわかっていくというパターンはあるが、理由もわからず勝てるというような状況は将来的には余りリターンが高い手段ではないと思う。最低限その知識がどういう意味があるのかはある程度考察していくべきだし、そうすることでより高い次元に至れると思う。
 とはいえ楽器の練習のように意味がわからないうちからとにかく体に覚えさせることが価値があるというケースも確かにある。ただ少なくともスマブラの成長にはたぶんあまりないし、そこまで幼い状態でもないのであればやはりある程度理由への意識は仮にわからないとしても向けている方が良いだろう。
 しっかりと知識は理由や価値まで理解した上で活かせるようにしたい。そこは常に意識したいと思う。

11. 私的あとがき

 よ~し、今日もスマブラやるぞ!! よし、「だれかと」を起動、と。今日こそこのキャラをVIPに入れるんだ。もう近いしね。さてさて、あ、こいつ、ラッグ!! ラグすぎるだろ。おいおい。はぁ~。あ、あぶねえ勝てた。勝てたからOKや。う~ん。緊張するなあ。よし次だ。……。は? 2ストかよっ!! 油断したわ!! もう、いい加減このゲームはルール統一してくれよ~。。。あ~なんか今日はジョーカーが多い日だなあ。誰か流行らせた? ああ!! 勝てない! 勝てないぞ!!! 3連敗したから一旦休憩や!
 ちょっと上達方法でも調べてみよう。なになに「相手の動きをよく見て癖を読んで、読み合いに勝てばいける」、「パーセント帯を意識」「崖の読み合いは頑張ろう」、「着地はしっかり」、「単調な動きをしない」、「まずはセットプレイから」……なるほどなるほど。
 よし勝てる気がしてきた! いざ実践だ!! ……勝てないっ! というかなんか思ったようにできない。相手はずっと動いててこっちもずっと動いててそんなかでどこをどうすればいいのか頭がまわらない! というかセットプレイをしようしても思った以上に刺さってくれないし、相手もセットプレイしてこようとするからもうお互い押し合いの無茶苦茶になるし、わけわからん! パーセント帯はもちろん意識してるけど意識したから何をすればいいのかわからないし、癖とかいうやつがどこにあるのかさっぱりわからん!! ……あ、でもなんかこの人には勝てそう。あ、また勝てた。あれ、今日はなんだか勝てるようになってきたぞ。よしよし! お~いい数字に来たなあ。あ~そろそろVIPだドキドキしてきた。よし今日はおしまい。明日頑張ろう。おやすみ。

 スマブラって難しいなあって思う。ほんと。僕は毎日こんな感じで、ビビって逃げての繰り返し。論理的に考えたくても解答が一切わからない、適用方法がわからないばかりで、色々やった挙げ句、結局適当な結果に満足することも非常に多かった。
 でもそれだけでは行けないと思って、色々と一生懸命考えて、それでとりあえずまとめるに至ったのが今回の記事になる。
 今回のブログは相当に難産だった。前回のブログの少なからぬヒットもあり、あるいは書ききれなかった部分が多数あったことを思って、僕としては近況報告まで含めてまた次のブログを書きたいというモチベーションは割とずっとあった。ところが、VIPより先の世界というのはあまりにも深淵で奥深く、また何もかもが茫漠としているようで何かをまとめるという段階にはなかなか至れなかった。
 今回のブログがなんとか書き出しに至れたのは、解説記事としてではなくメモ書きとして筆を進めたからという感じだろうか。あれから自分が多くの人から学んできたことや考えてきたことをどういう機会かに一度はまとめておきたいという気持ちがずっとあったのだが、それは解説するような内容ではなく、あくまで自分の考えとして保存するだけのものであるから、解説記事として書くことにはどうしても抵抗があり、そのフォーマットではいくら経っても筆が進まなかった。実際今回はボツ原稿の量が尋常ではなく、具体的には41000文字の完成品に対して、ボツ原稿が14000文字あった。合計で55000文字近く書いたことになる。本当にどう書けばいいのか最後まで上手くまとめきれなかった。
 けれどなんとか完成させられた。そこには達成感もあるし安心感もある。やっと僕は夏休みの宿題を残したようなメンタルから逃れられるのかな……みたいな。
 しかし、そういう大変な苦労が伴ったにもかかわらず、今回の内容は前回のブログほどとのヒットはどう考えても見込めないだろう。それどころかどこまで人の目に触れるかも非常に怪しい。内容自体が非常に抽象的な面が多い上に思想的な部分が大半のため、多分前回のわかりやすい結果と比べれば非常に対象読者が絞られた状況になっている可能性が高いからだ。せっかく書いたのに、そういう意味では非常に虚しい努力だったかもしれない、少し凹む。
 だが、それでもこうして書いたのは、自分としては自分がなにをどう考えたか残しておくことになにかの価値があるはずだと信じているからだ。仮に僕がこれを機に結局スマブラを諦めるとしても、こうして考えたことを書き下しておけば何かは残る。もし僕がこれから成長して結果を残せればそれだけで勝ちになるかもしれないし、そうでなくても誰かしら価値を感じてくれる人がいるかも知れない。とにかく相違したことすべて含めて、書き始めなければ始まらないのだと思う。だから、苦労して、書いた。うん。意義はあった……はず!!

 それにしてもネットには本当にいろいろな有益な情報が広がっていると常々感じる。今回こうして文章で自分の考える理論的な面をまとめてきたわけではあるが、それはもちろん独学で机の上でウンウン唸って思いついたというわけではなく、いろいろな人に話を聞きながら、考えを教えてもらいながら、それを反芻して構成してきたものに過ぎない。そういう意味では自分は何かをまとめただけという感じもしている。最初に「スマブラ原論を作りたい」と書いたのはそういう意味であって、数学の歴史的大著である「ユークリッド原論」は、ユークリッド1人の発想ではまったくなくて、彼はあくまで、過去の数学的発見を1つの論理体系に載せた上で一冊にまとめ上げたに過ぎない。僕としてもそういうふうに多くの論理を何かでまとめ上げたいと思ったのだ。
 そしてこれは今後も続けていきたいと思っている。こうして書き終えた瞬間から、更に掘り下げる部分というものがたくさんあることがすでに予感として感じられる。ジャストシールドの世界、N展開のさらなる機微と読み合いを仕掛ける水面下の話、キャラ対策の具体的話やその構成方法、人読みのもっと深いところ、大会での考え方……、もっともこれらはまだ僕が学習しきっていないため書くには全く能わないところだが、こうして勉強を続けていくにつれて、いろいろな人から聞いていくにつれてまた書ける日が来ると信じている。そのためにこれからもがんばりたい。
 以上色々書いてきたが、まだスマライフは始まったばかりである。僕はこれから自分で考えて強くなっていくつもりだし、そのための手数は踏めていると信じている。ブログを書くというちょっとした課題意識ですこしの遅れを取ってしまったが、書き終えた今、まとめ上げたことで思考がスッキリし、また先にすすめるのではないかとワクワクしている。さて、どこまで行けるだろうか。
 今回の記事を書くにあたって様々な方のお世話になりましたが、特にディスコードの窓「キャラ対窓」、「研鑽部」の方々には大変お世話になりました。特に最初期からひどい迷走に付き合ってくれたかなたさんとMacchiatoさんには頭が上がりません。また、論理的な面ではionさんとマグさんの持つ情報には大変助けられました。ありがとうございました。
 そしてここまで読んでくれた方ありがとうございます。先は厳しいかもですが一緒にスマブラ楽しみましょう!!! あ、もしよろしければCitranの方フォローしてください。(業者とBot以外)フォロバしますから!!

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おわり

女神. パルテナさま

 ぼくのめいんきゃらのぱるてなさまです。ああうつくしい、うつくしい。

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 パルテナさまは美しくて可愛くて強くて最高のキャラです。みなさんも「新・光神話パルテナの鏡」をやりつつパルテナさまで研鑽を積みましょう。

*1:ユークリッド原論を意識した表現

*2:"O"でなく"F"なのは別の部分で"O"を使うから

*3:そしてある瞬間、あ、自分は「いみわからん」って言う側じゃなくて言われる側だと、気付いたりもするのだがそれは別の話

*4:ジャッジの特性を利用すれば9回ではなく8回にできる